真・恋姫†無双~赤龍伝~第6話「蓮華との出会い」
夕方より始まった赤斗の歓迎会は夜まで続いていた。
そんな宴もたけなわになってきた頃
?「母様! 姉様!」
玉座の間の扉が開かれ、凛とした声が玉座の間に鳴り響く。
入ってきたのは、雪蓮と同じ桃色の髪の少女だった。その後に藍色の髪を後ろで纏めた少女と長い黒髪の少女が続く。
桃色の髪の少女「神聖な玉座で宴会とは何事です!!」
桃色の髪の少女は火蓮と雪蓮に詰め寄っていく。
火蓮「蓮華固いこと言うな。お前も飲め飲め」
雪蓮は蓮華と言われた少女の抗議を軽く躱して、酒を勧める。
蓮華「母様!! 私は」
雪蓮「そんなに怒らないの♪ これは歓迎会なんだから」
蓮華「……歓迎会?」
蓮華は、ようやく火蓮の隣に座っていた赤斗に気がついた。
蓮華「誰だ、貴様は?」
不審者を見るかのような目で赤斗に問いかける。
赤斗「えっと……」
火蓮「こいつは風見赤斗だ。この会の主役だ」
蓮華の迫力に、どうすればいいか困惑していた赤斗に代わって火蓮が答える。
蓮華「主役?……この男が?」
赤斗「風見赤斗です。よろしく」
そう言って握手を求めるも
蓮華「このような得体の知れぬ男と酒盛りなど!! 母様はいったい何を考えているんですか?」
少女は赤斗を無視して孫堅に詰め寄っていく。
火蓮「うるさい奴だな。赤斗、こいつは孫権。私の娘だ」
火蓮は蓮華の抗議をまたしても軽く躱して、赤斗に蓮華を紹介した。
赤斗(この娘が孫権か。やっぱり女の子なんだ。もしかしたら孫尚香は男なのかな?)
そんな疑問を浮べていると、蓮華がこちらを睨んでいることに赤斗は気づいた。
赤斗「……何かな?」
蓮華「………」
蓮華は何も答えずに赤斗を睨み続ける。
赤斗(何でここまで睨まれるんだろ?)
赤斗「………」
蓮華「………」
二人の無言の時間が続く。
火蓮、雪蓮、祭は面白そうに赤斗と蓮華の二人を見ながら酒盛りを再開していた。
冥琳、藍里、穏の軍師三人組は事の成り行きを静かに見守っていた。
蓮華と一緒に入ってきた二人は、蓮華の後ろから赤斗のことを警戒していた。
先に沈黙を破ったのは蓮華だった。
蓮華「貴様、何が目的だ?」
今度は殺気すら滲ませながら赤斗に問いかけてきた。
どうやら蓮華は赤斗のことを間者や刺客の類だと思っているみたいだった。
赤斗「何が目的と言われましても………火蓮さんのとこで今はお世話になっていますけど」
蓮華「貴様! 母様の真名を!!」
“チャキン”
赤斗が孫堅の真名を口にしたことにより、蓮華は剣を抜いて赤斗に向ける。
火蓮「やめろ、蓮華!!」
蓮華「しかし、この男は母様の真名を!」
火蓮「赤斗には私の真名を許している。私だけではない雪蓮たちも真名を許しているぞ」
蓮華「なっ………」
蓮華は驚きの顔を隠せない。後ろの二人も驚いた様子だった。
蓮華「本当なの冥琳、藍里?」
冥琳「本当です。私たちも真名をその男に許しました」
藍里「蓮華様は赤斗様を間者や刺客の類だとお思いのようですが、赤斗様の身元は私たちが保証します」
今まで静観していた冥琳と藍里が答える。
蓮華「冥琳たちがそこまで言うなら」
火蓮「少しは落ち着いたか蓮華?」
蓮華「はい。しかし私はこの男を信用した訳ではありません」
孫呉を支える柱石たちに言われ、やっと蓮華は剣を納める。
藍色の髪の少女「それほどの人物なのですか?……私には胡散臭い男にしか見えませんが」
長い黒髪の少女「胡散臭いとかじゃないですが、火蓮様や雪蓮様たちが真名をお許しになったことに、少し違和感があります。どういうことでしょう?」
冥琳「ふむ。まぁそうだろう。だが……こやつはお前たちの夫になるかもしれん人物だ」
「「「ええっ」」」
蓮華たちが驚きの声をあげた。
長い黒髪の少女「あ、あの……どういうことでしょう?」
黒髪の少女は当然の質問を口にした。
雪蓮「んー。赤斗は管輅の占いに出てきた天の遣いで、その血を孫呉に取り入れれば大きな力になるでしょ?」
火蓮「少なくとも孫呉に天の血を引く人間が居る……という評判には繋がるからな」
蓮華「母様たちは私たちの意思を無視するおつもりですか!」
火蓮「無視させてもらうさ。特に蓮華。孫家の人間であるお前の意思はな」
蓮華「…っ!」
火蓮「我らが夢、孫呉の宿願……天下統一に乗り出すためにも、赤斗の力が必要なのさ。だが、本気で嫌なら無理はさせない。まずはお互いに相手を知るところから始めろ」
蓮華「……」
冥琳「二人も良いな?」
藍色の髪の少女「はっ」
長い黒髪の少女「は、はいっ!」
祭「まぁ見た目は胡散臭いが、中々骨のある奴じゃから、安心せい」
雪蓮「祭にも勝ったしね♪」
「「「…っ!!」」」
蓮華たちが一斉に赤斗の方を見る。
蓮華「この男が祭に勝った……だと」
藍色の髪の少女「信じられん……」
長い黒髪の少女「凄いです」
三人は驚きを隠せない。
穏「うんうん。あと、こう見えて~結構頭も良いんですよ~」
藍里「とても優しい方ですから、ご安心ください」
皆が赤斗のフォローに入った。
蓮華「……ふんっ」
火蓮「……はぁー。とにかく。三人は赤斗に真名を預けろ」
火蓮は蓮華の態度に溜息をつきながら三人に促した。
長い黒髪の少女「は、はい! あの……姓は周、名は泰、字は幼平、真名は明命です! よろしくお願いします!」
赤斗「風見赤斗です。よろしく」
握手をしながら赤斗も自己紹介をした。
明命「はいっ!」
元気良く明命が返事を返した。
藍色の髪の少女「……我が名は甘寧。字は興覇。……王命により真名を教えよう。真名は思春と言う」
赤斗「よろしくお願いします」
思春「お前とよろしくするかどうかは孫権様次第だ……」
そう言って、思春は蓮華の後ろに戻っていった。
蓮華「………」
自分の自己紹介の番になっても、蓮華は無言だった。
赤斗「あの孫権さん。いきなり現れた男に真名を預けることに抵抗があることは分かります」
蓮華の眼を見て赤斗は話しかけた。
赤斗「だから、真名を預けてくれるのは僕が信用に値する人間だとあなたが判断してくれた時でいいです。僕はあなたに信用して貰えるようにするだけですから」
赤斗は蓮華に握手を再度求めた。
蓮華「……仮にも冥琳たちが真名を許した相手だ。だから……間接的には認めてやろう。……握手はしない。……そういうことには慣れていないから……」
そう言って蓮華は赤斗の手を取らなかった。
雪蓮「赤斗っ。この娘はちょっと真面目過ぎだし、カタブツっぽいところもあるけど、とっても良い娘よ。おっぱいも大きいし、お尻の形も最高だから、よろしくしてあげてね♪」
雪蓮が赤斗と蓮華の間に入ってきて、蓮華の胸やお尻を触りながら言う。
蓮華「姉様っ!」
蓮華が真っ赤な顔をして抗議している。
そんな雪蓮と蓮華の様子を赤斗も顔を赤くして見ていた。
こうやって、歓迎会の夜は終わっていった。
つづく
~あとがき~
呂です。歓迎会は今回で終わりです。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
この外史では“北郷一刀”が主人公ではありません。
火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
学んでいる流派には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”などがある。
あと一つ奥義があるのだが、赤斗本人はその奥義を使うどころか、語ろうとすらしない。
能力値:統率?・武力4・知力4・政治?・魅力?
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:不明
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、朱里には僅かに及ばない。
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
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真・恋姫†無双~赤龍伝~第6話「蓮華との出会い」は、二次創作の小説です。基本的には呉の√にそっていきますが、主人公を含めて孫堅や諸葛瑾などのオリジナルのキャラクターが存在します。本来の作品のイメージを大切にしたい方はご覧にならない方が良いかもしれません。