真・恋姫†無双~赤龍伝~第9話「黄巾党との戦い」
兵士「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
兵士たちが雄叫びを上げて、黄巾党に向かって行く。
祭「殺せ殺せぃ!獣たちを狩り尽くせぃ!」
思春「甘寧隊も続け!」
兵士「応っ!」
明命「周泰隊は敵後方に回り込み、横撃を掛けます。我が旗に続いて下さい!」
兵士「応っ!」
指揮官たちの声に応じるように、兵士たちは黄巾党に怒涛に攻め入る。そして、命が一つ、また一つと奪われていった。
その様子を後方の少し高い丘で見ていた赤斗は震えていた。
冥琳が後方に居るように指示されて安心している。
後方は戦いから遠いので安心している。
戦わなくて済んで安心している。
人を殺さずに済んで安心している。
そんな自分に嫌悪感を抱いていた。
孫権を守ると決めたのに、こんなことで本当に守れるのか?
そもそも戦えるのか?
戦ったら勝てるのか?
それよりも自分は生き残れるのか?
そんなことが頭の中いっぱいに広がって、頭がパンクしそうになっていた。
蓮華「……み、………ざ…、ざみ……風見!」
赤斗「えっ…………孫権?」
蓮華「孫権じゃない。大丈夫か顔が真っ青だぞ?」
心配そうに孫権が尋ねてくる。気がつくと掌は汗でびっしょりになっていた。
今、鏡を見たら、さぞかし情けない顔を見ることができたであろう。
赤斗「大丈夫。戦の空気に気圧されていたみたい」
蓮華「……そうか」
赤斗「カッコ悪いな……守ると言ったのにさ、これじゃ」
蓮華「………」
穏「たったっ、大変ですぅ~~」
蓮華「どうしたの、穏?」
穏「私たちの後方から黄巾党の別動隊が迫ってきたんですよ~~」
赤斗「っ!!」
蓮華「何っ!数は?」
穏「約二千ほどです~」
穏が言い終えると同時に黄巾党の別働隊が攻め入ってきた。
黄巾党の大男「なんとしても大賢良師様を助けるんだーーーーーっ!!」
黄巾党の兵士たち「おおおおーーーーーーーーーーっ!!」
黄巾党が雪崩れ込んで来て、一瞬にして周りは戦場に早変わりした。
さっきまで遠くで聞こえていた高い金属音が、すぐ間近で響いている。
黄巾党の小男「死ねーーーーーっ!」
赤斗「くっ!」
襲い掛かってきた小男の攻撃を躱す。
その時、蓮華の姿が目に入る。先程の怒声と共に乱入してきた大男が蓮華に斬りかかっていた。
大男は蓮華より腕が立つようで、蓮華は次第に追い込まれていった。
それを見た赤斗の心は暗く冷たいものに変化していった。
腰に差している二振りの日本刀“花天”と“月影”を抜き、自分に斬りつけてきた小男の喉を切り裂く。
赤斗「疾風」
小男が地面に倒れるより先に、“疾風”による高速移動で蓮華と大男の間に割って入った。
黄巾党の大男「なっ、何だ!」
蓮華「おっ、お前?」
蓮華は驚いた。先程までの震えていた赤斗とは別人だったからだ。
その赤斗が大男に斬り込んでいく。
黄巾党の大男「何だ、こいつ!?」
赤斗は落ち着いていた。この大男は雪蓮や祭に比べたら弱い。動きが丸見えだ。
“ザシュッ”
嫌な音と共に嫌な感触が手に伝わる。
黄巾党の大男「うっ、腕がーーーーーーーーーーーっ!!」
大男の両腕が無くなっていた。赤斗が大男の両腕を斬り落としたのだ。
そして、赤斗の右腕にある“花天”が、腕を失って取り乱している大男の首を一閃した。
次の瞬間、大男の首は胴体から離れていた。
赤斗「………」
蓮華「お前……」
返り血を浴び赤斗は動かなくなった大男を見降ろしていた。
火蓮「蓮華ーーーーっ!!」
思春「蓮華様ーーーっ!」
火蓮や思春の部隊が駆け付けてきてくれた。そこで形成は逆転した。
その集団が逃げる黄巾党に、怒涛のような勢いで追いすがり、追い散らし、無造作に命を奪っていった。
やがて、黄巾党は全て殺し尽くされ、長く感じられた戦いは、ようやく終結したのであった。
火蓮「皆の者! 勝鬨だーー!!」
兵士「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
天に兵士たちの声が木霊する。それは戦いに勝利した証。魂からの声だった。
そして、赤斗は火蓮たちと一緒に凱旋の途についたのであった。
赤斗「………」
凱旋の途中の野営地の夜。赤斗は一人で佇んでいた。
黄巾党の男を二人殺した。
殺した時の感触が手から離れない。
蓮華「……また一人で考え事?」
赤斗「孫権か……まあね。孫権こそどうした?」
蓮華「その……あ…あなたに言いたいことがあったから……」
赤斗「言いたいこと?」
蓮華「あ……ありがとう。その…助けてくれて」
赤斗「あぁ……孫権を守るって約束したからね」
蓮華「あ…あなたの闘いぶりはしっかりと見させてもらったわ。少し見直したわ」
赤斗「ありがとう……やっぱり凄く怖かった。今にも逃げだしそうだったよ」
蓮華「それでも、あなたは約束通りに私を守ってくれた。……それで、そ、その」
赤斗「うん……?」
蓮華「わっ、私の真名は蓮華という。……この名を、お前に預けたい」
赤斗「真名を?」
蓮華「ああ。……これが私の命を助けてくれた礼だと、思ってくれ」
赤斗「……ありがとう。蓮華。これからよろしく」
そう言って手を蓮華の前に差し出した。
蓮華「よろしく。赤斗……」
歓迎会ではしてくれなかった握手。しかし、今日はしっかりと蓮華は赤斗の手を握ってくれていた。
柔らかな微笑みを浮べながら握手をしてくれる蓮華の温もりが、赤斗の人を殺めた嫌な感触を癒してくれているみたいだった。
つづく
~あとがき~
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
この外史では“北郷一刀”が主人公ではありません。
火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
学んでいる流派には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
赤斗本人は“狂神”を使うどころか、語ろうとすらしない。
能力値:統率?・武力4・知力4・政治?・魅力?
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:不明
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、朱里には僅かに及ばない。
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
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真・恋姫†無双~赤龍伝~第9話「黄巾党との戦い」は、二次創作の小説です。基本的に呉√にそっては行きますが、主人公は北郷一刀ではなく、オリジナルキャラクターです。他にもオリジナルキャラクターは登場しますので、本来の作品イメージを大切にしている方はご覧にならないでください。また、未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。