篠ノ之束による建国宣言と同時に国連では今回の事態をどう対処するかの緊急会議が開催された。
既にティターンズ艦隊がIS学園を包囲しそれに各国から派遣された軍がIS部隊を展開させて加わりTV・ネット中継の画像が世界中にリアルタイム送信されていた。
「ふん、全く後から後からわらわらと。国連で今回の事件の一切をティターンズが取り仕切ると言うことを知らんのか」
ティターンズ艦隊旗艦クイーンズランス艦橋でバスク大佐は面白くなさそうに鼻を鳴らした。
「そう言うなバスク。彼等にも体面というものがある。態々それを立ててやっている分今更波風を立てる必要はあるまい」
「はっ、ですがジャミトフ閣下。連邦から貸し出されたアレ本当に使ってよいのでしょうか?」
バスクはチラリとジャミトフの顔を見上げた。
「かまわん。既にゴップ閣下が手を打たれている。後は時間どうりに事を進めればよい」
ジャミトフはそういって視線をモニターに映るIS学園へと移す。
学園が非常時用に展開するアリーナのシールド以上の出力を誇るシールドがIS学園の人工島全体を覆っている。
外部からの侵入を一切拒絶するシールドだが展開されてから既に十六時間が経過し、そろそろエネルギーが切れる頃だろう。
構造上比較的弱いとされる海面から侵入しシールド発生装置を破壊しシールドを解除すれば後は空挺部隊と共にアレを投入すれば直に方が付く。
だが事はそう上手くは運ばなかった。
「!?IS学園から反応。これは・・・・・・無人ISです」
「何だと!!」
オペレーターの緊張した声が艦橋に響く。
直さま警報を鳴らし、非常時体勢を取ったティターンズ及び各国軍はスクランブル機を飛ばしIS部隊も上空に展開を開始する。
「対空砲火各座開け!!それと宇宙軍との回線をオープンにしろ。情報が欲しい」
IS学園上空の軌道上に展開した地球連邦宇宙軍から送られてくる詳細な情報で直さま正確な数を把握したティターンズは各国軍に情報を添付し効果的な迎撃体勢を構築する。
「IS部隊はこちらの指揮下に入れ。それとアームズフォートフェルミ、スティグロ、イクリプスを出撃させろ。ギガベースは後方にて援護射撃を要請」
「了解しました。ギガベース砲撃まであと三十秒」
後方の洋上で待機していたAF(アームズ・フォート)ギガベース、双胴船の連結部分の上に巨大な箱型の砲塔が設置され、そこから放たれる砲弾が轟音を立て水平線の向こう側へと砲弾を飛ばす。
「ギガベース着弾まで五、三、二、一、着弾いま」
無人IS部隊を貫く砲弾が、衝撃波を撒き散らして彼方へと飛んでいく。
残念ながら撃墜機は無いがそれでも敵の陣形を崩せたのが大きい。
底に第二段第三弾の砲撃が叩き込まれ、今度は少なくない数のISが砲弾に巻き込まれながら海中へと没す。
「よし、砲撃を中止。IS部隊は上空から攻撃を開始しろ。イクリプス、フェルミはスティグロの突破を援護しろ」
上空では各国IS部隊と無人ISとのドッグファイトが展開されるのを横目で見て海上を超高速で航行するスティグロがIS学園目指して戦場を突破にかかる。
何機かの無人ISが阻止にかかるが上空に展開するフェルミ、イクリプスのレーザー砲撃とミサイルの弾幕を前に取り付く事が出来ない。
「いいぞ、そのまま弾幕を絶やすな。それと流れ弾も気にしなくていい、あれはISの絶対防御と同等だからな」
バスクがニヤリと笑いながらも攻撃の指示を出し、無人ISがジリジリと後退していく。
「ふむ、ちと脆すぎるな。バスクどう思う」
ジャミトフは戦術モニターに表示される状況から敵が本気では無いかと考えた。
実際各国IS部隊は皆選りすぐりのエリート達ばかりだがそれにしてもあまりに敵の攻撃が散発的であり何かしら別の意図を感じさせた。
「はっ、私もそう思います。ですがご心配には及びません、現にこちらにもまだ予備戦力と切札があります。如何に天災といえどもたかが一テロリスト相手には些か過剰ですがな」
バスクは笑うがしかしジャミトフはそう安心してはいられない。
現にゴップ閣下は一度ならず命を狙われ実際に生命の危機に瀕していた。
ならば自分たちがそうでないとどうして言い切れる?
ジャミトフはそう心の中で呟いた。
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第二十三話