No.392178

回答者の降臨

rahotuさん

第二十四話

2012-03-15 22:44:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3514   閲覧ユーザー数:3394

パリーン

 

薄いガラスが割れるような幻聴が聞こえ。

 

それと同時にIS学園を覆っていたシールドが砕け散り、スティグロの活躍によって突破口が開けた途端勝手に戦線を離れた各国ISが真っ先に学園へと侵入し...。

 

突如出現した八機の無人ISに瞬殺される。

 

「ふん、馬鹿者共が。各機両翼を伸ばして新型ISを包囲。ギガベースには砲撃の中止を伝えろ。今撃っては学園を壊してしまうからな」

 

バスクは勝手に落とされたISに嫌悪感を隠そうともせずに一言言い放つと。

 

次の瞬間にはまた視線を戦場へと移す。

 

「愚かな事だ。こんな茶番で死ぬとはな」

 

ジャミトフは呆れたように言うが、そもそも今回の作戦事態折衝案の塊のようなもので未だに面子やなにやらと拘っている世界の面々に失望を隠せないでいた。

 

(このような考えだから未だに人類は地球を離れる事が出来んのだ。やはり今一度連邦による統一と地球からの強制移民を行わなければ。これ以上地球を汚させはせん)

 

「ジャミトフ閣下、そろそろ例のアレを投入する頃合ではないでしょうか」

 

「そうだなバスク。宇宙軍に連絡を入れろ、我々の回答を世界に示してやれ」

 

バスクはジャミトフの答えにニヤリと頬を歪めた。

 

 

 

 

 

 

IS学園沖合い上空

 

そこでは各国IS部隊が新たに現われた新型八機相手に苦戦を強いられていた。

 

「くそぉ、こいつ等早い硬い。それにシツコイ!!」

 

ラファールカスタムの拡張領域からアサルトライフルを出し、新型に向ける。

 

トリガーを引き絞ると同時に曳光弾の瞬きが夜の空を彩る。

 

黒色の全身装甲(フルスキン)で覆った細身の無人ISはアサルトライフルの弾を避けるまでもなく、両肩に装備されたパルスレーザーを放つ。

 

青白い球体が光速で放たれ途中から花火のように弾けライフルの弾を尽く打ち落とす。

 

出力が違いすぎるッ!!

 

パイロットは内心そう毒づく。

 

エネルギー兵器特化の銀色の福音、シルバリオ・ゴスペルでさえ出す事が出来ない高出力パルス兵器をいとも簡単に放ち。

 

しかもマッハ3を越える超音速機動の中での正確な射撃。

 

彼女が乗る第二世代ISでは性能に圧倒的なまでの開きがある。

 

「だけども!!」

 

両手、両肩、両足、両肘に同時にマイクロミサイルランチャーを展開し一斉に放つ。

 

大小四十を越えるマイクロミサイルが無人ISに四方八方から殺到し巨大な火球を出現させる。

 

だが、パイロットは直撃したのにも関わらず武器の構えを解かず、逆に銃口を向けたままだ。

 

突然、背中に悪寒が走り本能的に機体を右に急加速させると同時にさっきまで自分がいた地点に青い刃が通り過ぎた。

 

火球を切り裂くようにして放たれる刃をいなしつつも、彼女はハイパーセンサーで相手の姿を必死に探す。

 

「そこだ!!」

 

対IS用超長距離スナイパーライフルを両手で保持し、何も見えない虚空へと放つ。

 

本来ならば何もいないはずの空間を通り過ぎるはずあった弾丸が何かに防がれたようにして切られる。

 

その瞬間、確かにその地点の空間が不自然に揺らぐ。

 

彼女は何度も何度もライフルの弾を放ち、そのたびに何も無い空間で弾丸が撫で切られていく。

 

途中で弾を変え榴弾を混ぜ同じ様に迎撃される当時に爆発したそこには、先程火球に包まれていたはずの無人ISが姿を現していた。

 

「光学迷彩、それにあの縮音性と空間への投影。厄介なものを作ってくれる」

 

無人ISと戦い続けて既に三十分以上が経過しているが、軍用にカスタマイズされた彼女のラファールカスタムをこうまで追い詰める篠ノ之束の技術に彼女は戦慄した。

 

その圧倒的機動力、装甲、そして何よりも豊富な武装。

 

どれをとっても現行の第三世代ISそしてIS学園に送られたとされる第四世代ISを超えるものだ。

 

彼女が生き残れているのは単に偶然でしかない。

 

ISの出現によって女尊男卑に成ったとは言うが、生粋の軍人でありもと外人部隊出身の彼女にとってそもそも性別差などいいわけにもならない陳腐な事であった。

 

故に彼女は驕り高ぶることも、相手を見下すこともなく軍人として極めて優秀な兵士としての評価と実力を勝ち取っているのだ。

 

さて、話を戻そう。

 

突然彼女はふと違和感を覚えた。

 

戦場で敵から目を離すなど自殺行為にも等しいことだが、彼女はハイパーセンサーで捉えた光景に自分の目を疑った。

 

「なっ!!なんだあれは」

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園軌道上空

 

そこには本来宇宙には存在しないはずの人工物がいた。

 

閉じた傘のような物体が、管制官の声に導かれるままに微調整を行いそしてカウントダウン開始と共にゆっくりと軌道上から降下していく。

 

その様子を固唾を呑んで見守るクルーの中、ギレン・ザビは降下する人工物を一瞥しただけで直に興味を失ったかのように天井を仰ぎ見る。

 

「ふん、ゴップ閣下も粋なことをする。だが、果たしてこれは誰に対する回答なのか。興味は尽きんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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