No.392172

崩壊への序曲

rahotuさん

第二十二話

2012-03-15 22:40:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3368   閲覧ユーザー数:3254

西暦2XXX年

 

今年も世界IS委員会主導のもとIS国際会議がここIS学園において開かれていた。

 

この会議はアラスカ条約により年に一度開かれる事が明言され、ISコアの分配と平和利用における話し合いというのが表向きの名目である。

 

この会議の成否いかんで国家の存亡にかかわるISコアの分配が決まる以上、どの国家も凌ぎを削り交渉に明け暮れる。

 

今回の会議の主だって話し合われたのは近年頻発するISを用いたテロに対する対策だ。

 

無論ISはアラスカ条約において軍事利用を禁止されているが、各国はこの部分の一部緩和を求め、IS委員会はティターンズの存在を理由に拒否するという展開が続く。

 

実際ISを使用したテロというのはそのインパクトは強くとも回数は少ない。

 

精々篠ノ之束が起こしたテロ事件を含め(或いはそう見なされている)ここ十年で十件あるかどうか。

 

それでも地球連邦ゴップ首相暗殺未遂テロや白騎士事件、更には某国企業におけるIS強奪事件を含めるとIS委員会でも無視できるレベルを遥かに超えている。

 

この点をどうするかで揉めているのだが、実際某国企業はこの会議の前に壊滅が確認され、現在奪取されたと思われるISコアは全てティターンズが回収しIS委員会が保管管理している。

 

今回の会議の項目のうちに、そのうちのいくつかは元の保有国に返還されることになっているが、潜在的なテロの脅威は消えたわけではない。

 

その為軍拡に走る各国と歯止めをかけるIS委員会とで鬩ぎ合いが行われているさなか、それは起こった。

 

『ハロー世界の皆さん。束さんだよ~』

 

間の抜けた声が突如として国際会議が開かれているアリーナのスピーカーから響く。

 

突然の声に混乱するのを他所に、声の主篠ノ之束は勝手に話続ける。

 

『今日は束さんの人質になってくれるために集まってくれて感謝するよん。でね実は今日束さんは世界の皆さんにお願いがあるのです』

 

発生もとを逆探知しようとするもの、慌てて本国と通信を開くもの、その反応は様々であったが彼等の頭の中にはある一つの共通の単語があった。

 

このアリーナをまさかハイジャックするのではと、その恐怖に怯えていた。

 

『そのお願いとは、全ての国家及び組織はその主権を放棄し全てこの私篠ノ之束に一任すること。次にISによる世界統治を認めること、これだけだよん』

 

あっけらかんととんでもない爆弾発言をする篠ノ之束に直さま会議場は怒声に包まれる。

 

そんな彼等の声をまるで知らないとばかりに勝手に話を進め、遂にはこんな事を言い出す。

 

『こんなにお願いしているのに駄目かな?それじゃあ仕方がありません。今よりここIS学園を束さんがいただきます。そして束さんランド建国を宣言します』

 

最早子供の悪戯かお遊びレベルの話だが、相手はあの天災篠ノ之束だ。

 

その言葉は一国の首相の発言より重みがある。

 

この放送は全校生徒にも瞬く間に知ることなり混乱に更なる拍車をかけ、遂にIS学園上空にそれらが現われる。

 

漆黒の全身装甲を纏った無人IS約五十機。

 

俗に言うゴーレムシリーズが一斉にIS学園へと侵入する。

 

突如として現われた国籍不明のISに驚いた学園は直さま待機していた教師陣を出撃させる。

 

その数凡そ二十三、所属不明機に対して数で劣るがIS学園の教師は全て嘗て国家代表か或いはそれクラスの実力者ばかりだ。

 

彼女等の前では二倍程度の差など物の数ではなかった。

 

直さま上空でドッグファイトが展開され、ビームとミサイル、機銃が飛び交う戦場と化す。

 

直さま生徒会のメンバーと各国代表候補生もISを展開させ予備戦力として召集される中、海中から更に無人ISが出現し、IS学園と外を繋ぐ唯一に交通手段であるモノレールを破壊する。

 

崩れ落ちる鉄橋、IS学園の象徴である橋の崩落は生徒達や衛星からの中継で見ていた世界中の市民そして、アリーナに捉われた各国の重鎮達に衝撃を与えた。

 

 

 

地球連邦首都政府官邸

 

地球連邦首相ゴップは衛星からの中継と大使館経由での情報から地球連邦軍全軍に対して非常時体制の宣言を終え、現在ティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマンとレーザー通信での会談を行っていた。

 

「申し訳ありませんゴップ首相。これも全てこちらの落ち度であります」

 

「いや、君のせいでもあるまい。無論責任は無いともいえないがそれよりも現状はどうだ?直にでもティターンズ全軍を出撃させられるかね」

 

「はい、国際条約に則りIS学園沖に展開していたバスク大佐とクイーンズランスがIS学園に急行しています。それと日本、中国、ロシア、アメリカ、カナダ、韓国が介入の動きを見せています」

 

「それは厄介だな。そちらは私の方で何とかしておこう。それよりも場合によってはアレの使用もありうるな」

 

「アレですか・・・少々時期が早すぎるのでは?」

 

「無論アレは万が一の保険だよ。今現在地球連邦太平洋艦隊からAF(アームズフォート)戦隊を出撃させた。一時的に貴官が指揮を取れ」

 

「はっ、ありがとうございます。全力を尽くす所存であります」

 

通信を切ったゴップ首相は、直にまた電話をかけた。

 

「ああ、私だ。宇宙軍に繋いでくれ」

 

地球圏最大の軍事力が今IS学園に介入しようとしていた。

 

 

 

 

上空で史上空前のISによる空中戦が行われている最中、IS学園から脱出しようとした船に海中から突如として無人ISが出現し、次々と航行不能にしていく。

 

IS学園をぐるりと囲むように出現した無人IS群は港湾施設を破壊しつつ真っ直ぐIS学園中央を目指していく。

 

学園もそれを阻止しようと各国代表候補生及び生徒会メンバーを非常招集して防衛線にあて、その他生徒達の中から優秀なものを選んで防衛戦に投入した。

 

この非常ともいえる判断はを迫られた時の理事長は自身の首をかけIS学園の生徒までも動員し総力を挙げた戦いへと突入していく。

 

後の第一次IS学園攻防戦の火蓋が切って落とされたのだ。

 

 

 


 
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