ローラは苦しそうに頭を抑えてその場にうずくまると呻き始めました。
「頭が…割れそうに痛い…」
「僕も初めてこの絵を見た時にそうなった…」
「なぜこの絵を私に見せたの?」
「苦しめるような事をしてごめんね。でも君だって思い出したいって思ってるんだろ?」
「思い出したいけど思い出せなくて辛いの…」
「結婚してたって事は僕たちはこの家で一緒に暮らして…愛し合ってたんだと思う」
「色々周りの人に教えてもらうんだけど、現実味がなくて信じられないの。私があなたを好きになる事自体が有り得ないし…」
「僕は記憶がなくても、記憶を失う前の僕がなぜ君を好きだったのかわかるよ」
「私のどこが良いの?どこも良いところがないでしょ」
「この前、事情聴取をしていた時も君は正直に答えてくれてたし、店長の良いところも話してくれてたからさ」
「えっ、あの時はあなたから嫌われてると感じてたんだけど…」
「僕は好意のある相手に上手く好意を伝えられないから…。嘘をついてる人はすぐわかるし、罪を逃れる為に人のせいにしてごまかす奴は最悪だね。事情聴取に行くとみんな罪のなすり付け合いや、責任転嫁ばかりしてるよ」
「あのお店が潰れちゃうと本当に困るんです」
「ひょっとして店長に頼まれて、僕とデートする事にしたの?」
「ううん、奥さんに頼まれたの。なかなか雇ってもらえるところが見つからなくて、やっと雇ってくれたのが店長だったから、なんとかしたくて…」
「そこまで就職難が酷かったとは…。僕は適当に面接に行けば大体どこでも雇ってもらえたけど」
「あなたならいくらでも雇ってもらえるだろうけど、私はなんの取り柄もないから。就職氷河期なんだよ」
「僕のお母さんも面接でかなり苦労してたらしいけど、思ったより簡単に見つからないものなんだね」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第354話。