ルークはステイシーと一緒に小さなパン屋へ来ました。路地裏の方にあるので目立たない場所ですが、表通りのパン屋より値段が安いようです。
「僕はいつもここの卵サンドを食べていたんですか?」
「まるで記憶喪失のアウローラみたいな話し方をしますね」
「あっ、このパン屋さんでローラって子が働いていたのか!全然、知らなかった…」
「一ヶ月以上前から働いていましたよ?」
「こんな目立たない場所だと店の存在にすら気付きませんね…」
「初めてこの店に来た時は、あなたはまるで何かに導かれるように見つけてましたけど」
「心眼を使ったのかな?ローラって子のオーラは普通の人と違うからすぐに見分けられる…」
「今日は卵サンドを買わないのですか?」
「この店でパンを買った客に食中毒があったんですよね?ちょっと事情聴取に行ってきます」
ローラはルークがステイシーと一緒に店に来たので少し驚いたような表情をしています。
「いらっしゃいませ。綺麗な女性と一緒ですけど、恋人なんですか?」
「いえ、彼女は仕事のパートナーですよ」
「そうですか…。今日もいつもの卵サンドにします?」
「実はこの店のパンを買った客が食中毒を起こした可能性があるので、調べさせていただきたいのですが、店長はおられますか?」
「えっ!食中毒…。やっぱりあの卵が良くなかったのかな」
「何か心当たりがあるのでしょうか?お話をお聞かせください」
「ゆで卵の殻を剥く時に水を張った桶の中でやるんですけど、たくさん剥くので桶の水が濁って来るんです。でも店長は濁ってても構わないって言って、そのまま剥いててうっかり失敗して白身が割れてしまって…」
「その失敗した卵は破棄したのですか?」
「いえ、そのまま使います。卵サンドはぐちゃぐちゃにして味付けするからわからないって店長が…」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第349話。