ルークは自分のデスクに戻って小さな額縁のローラの絵を見つめました。いくら思い出そうとしてもどこの誰なのかさえわかりません。
「今、ローラって子もこの状態なんだろなぁ。思い出そうとしただけで頭が割れそうだ。これは流石に辛い…」
ルークのパートナーのステイシーが現れます。
「新しい書類を受け取りに来ました」
「ウィルスさんに見せる前に、お父さんに見せて来たから、もう良いよ?」
「アウローラの記憶は戻りそうですか?」
「記憶の復元は難しいと思う…。僕も自分なりに色々と試してるけど、記憶が戻らないから」
「今日もあのパン屋さんに卵サンドを買いに行くんですか?実はあのお店、悪い噂があるんです」
「あのお店?どのお店だろう…。ごめん!よくわからない」
「いつもこの時間になると、ランチを買いに行くじゃありませんか?」
「そうなんだ?よかったらその店に案内してくれないかな」
「ルーク、何か昨日と様子が違う気がするんですけど」
「そう?僕はいつもの通りだよ」
「いつものあなたならその絵を見てニヤニヤしてるのに…」
「あっ、そうだったんだ…。観察力が鋭いね」
「昨日は休日だからアウローラをデートに誘うと息巻いていたようでしたが…」
「そのデートで何かするって話してたかな?」
「いえ、特に何も…。思い出の場所でも巡るつもりだったんじゃないでしょうか?」
「まあいいや。さっき言ってたパン屋さんに連れて行ってよ?」
「この前、食中毒を起こした患者がたくさん病院に運ばれて、みんなあの店のパンを食べてたんです」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第348話。