No.990094

聖ビーストテイマー・ナタ337

リュートさん

一応、新シリーズだけど本編の第3部・第337話。

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2019-04-14 15:49:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:118   閲覧ユーザー数:118

ルークの目から涙が溢れて来ました。ローラと愛し合っていた頃の記憶が蘇ったからです。もう二度とローラを抱けないかもしれないと思うと、哀しくて仕方ありませんでした。

 

「また一からやり直しなんだ。十五歳の頃、全くローラから相手にされてなかった、あの辛い日々をもう一回繰り返さないと」

 

「うにゅー?バブバブー?」

 

「何を言ってるのかわからないよ…」

 

「パパ!パパ!」

 

「あっ、パパって呼んでくれた」

 

赤ん坊のゲイザーから慰められて、ルークはいつの間にか泣き止んでいました。

 

「泣いてたらダメだよな。ありがとう、ゲイザー」

 

それからも毎日のように仕事の後はゲイザーを連れてローラのところへ通いましたが、ローラの記憶は戻る気配もありません。休日はデートに誘っても断られてしまいます。ルークは精神的にだんだん辛くなって来て、リリムにぼやきました。

 

「僕の記憶も消してしまいたい…。ローラと仲良く暮らしてた頃の記憶が蘇ると辛くて。この記憶がなければ、もう少しラクかもしれない」

 

「私のテンプテーションにかけたら消せると思うけどねぇ」

 

「そうか!リリム姉さん、僕にテンプテーションをかけてよ?」

 

「そんな事したら私がパパに叱られちゃうじゃなぁい」

 

「僕も記憶が消えた時の苦しみを理解したいんだ。すぐに魅了の術を解けば問題ないだろう?記憶が消えても僕はローラをもう一度好きになると思うよ」

 

「随分と自信があるみたいねぇ。魅了の術を甘く見過ぎじゃないのぉ?この術を破れるのは勇者様並の精神力が必要だからぁ」

 

「おじさんの精神力がどれほどのものなのか、この身もって体感してみたいんだ。ダメかな?仮に何かあったとしても、僕とリリムは血の繋がりはないし、何の問題もないだろ」

 

「問題はありまくりでしょ?血の繋がりがなくてもあんたは私の弟なのよぉ!」

 

「頼むよ…。この記憶を一時的にで良いから消したいんだ」

 

「過去の記憶が辛いってのはよくわかるわぁ。過去の記憶が幸せであればあるほど、それが壊された時のショックは大きいものよねぇ」

 

ルークに押し切られて、リリムはテンプテーションをかけました。ルークの中のローラの記憶が全てリリムに書き換えられてしまいます。ルークはまるでローラを見るような目で、リリムを見ていました。

 

「ああリリムは本当に可愛いなぁ。キスしても良い?」

 

「ダメよぉ?キスしたらあんたの寿命が縮んじゃうんだし、パパに叱られるの私なんだからねぇ」

 

…つづく


 
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