ルークはリリムを抱き締めて耳元で囁きます。
「君が僕を好きじゃなくても、僕は君の事が大好きなんだよ?」
「もうやめてよぉ。ローラはこんな事されて、よく耐えられたわねぇ」
「恥ずかしがってる君も可愛いよ?」
「はぁ…鳥肌が立って来ちゃったわぁ。ママに頼んで魅了の術を解いてもらいましょ?」
リリムはルークを連れて、ナタのところへ行きました。休日ですが美容室は営業中です。昼休みになるまでソファーで待っている間、ルークがリリムにメロメロにされています。
「これはどう言う事なのかしら?説明してちょうだい!リリム」
「私はやめといた方が良いって言ったんだけどぉ。ルークがどうしてもって言うから仕方なくテンプテーションをかけたのぉ」
「なんでそんな事、ルークが頼むのよ?」
「リリム、わかんなぁい!記憶を消したかったって言ってたけど、それなら別の方法があるでしょ?」
「そうね、記憶を消す魔法なら私も使えるけど魅了の術より安全よ?」
「私にはルークが危険な橋をわざと渡りたがってるように感じたわぁ。もしかしたら勇者様に張り合ってたのかもぉ」
「まさかおじさんに魅了の術が見切れたんだから、自分にも見切れるとか思ったんじゃないでしょうね?」
「かもねぇ。もう一度ローラを好きになれるって自信満々だったしぃ」
「ルークの悪いところね…。自分に出来ない事はないとでも思ってるのかな?」
ナタが解除の呪文を詠唱するとベタベタくっ付いていたルークはリリムから離れました。
「ルーク、私が誰だかわかる?」
「お母さん…。なんだか悪い夢を見ていたような気がする」
「そのピンクのネクタイは誰からもらったか思い出せる?」
「これは…!なんでこんなダサいネクタイをしてるんだろう?」
「これはダメだわ…。完全にローラの記憶が消えてしまってる」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第338話。