時間を元に戻して、ルークは仕事が終わるとスノーに預けていたゲイザーを迎えに行って、家には帰らずにマルヴェールのローラのところへ向かいます。
「この赤ちゃんが私の子供だと言われても、私には全く記憶がなくて、確かにお父さんにそっくりだけど」
「僕の事を忘れてしまったから、赤ん坊のゲイザーの事も忘れてしまったんだね…」
ゲイザーはローラに抱かれて、フカフカの胸に顔を埋めていました。ローラはまるで他人の赤ん坊を抱いている気分です。
「あなたと結婚していたって聞いたけど、お母さんまでグルになって嘘をつくわけがないし、お母さんは嘘をつくのが大嫌いな性分なのよ」
「今のローラには僕が赤の他人にしか見えないはずだから、一緒に暮らしたいと思えないのはわかるよ?」
「私があなたと結婚するなんてどうしても思えないのよね。うまく言えないんだけどあり得ないから」
「僕がローラの好みのタイプじゃないのはわかってる」
「好みのタイプじゃないと言うか…。あなたなら他にいくらでも相手がいるんじゃない?なんで私なんかと結婚してるのかがわかんなくて」
「僕はローラが一番好きなんだ。他の人には興味もないよ」
「うーん。そう言われても…。結婚してたって言う実感がないのよ?」
「ローラはおじさんの娘だから、きっと記憶を取り戻せると信じてる」
「お父さんも昔、お母さんの記憶が消えてキスしてもらったら、記憶が戻ったって聞いたんだけど…」
「そっか!じゃあ僕がキスしたらローラは記憶が戻るのかな?」
「えっ?あなたとキスするなんて絶対嫌よ…」
「そうだよね…。ごめん!変な事を言って…」
ゲイザーを連れて家に帰りました。ゲイザーの子供部屋で一緒に寝る事にすると、ゲイザーはまるで慰めるように小さな手でルークの頭を撫でています。
「何の為にこの家を買ったんだろう?ローラがいないこの家は帰る価値もない」
「バブー!だぁだぁ!」
「そうだね。ゲイザーがいるんだ。僕とローラの愛の結晶」
「はいー!ちゃー!きゃっきゃっ!」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第336話。