ローラがアラヴェスタの家に帰りたがらないので、ルークはマルヴェールの家にローラをお姫様抱っこで送りました。玄関の呼び鈴を鳴らすとリリムがドアを開けます。
「ルーク、髪が真っ黒じゃなぁい?一体、どうしたのよぉ」
「ローラの記憶が消えてしまったんだ。ウィルスさんに惚れ薬を飲まされて、僕の事を忘れてしまった…」
「そうなんだぁ?でも記憶が消えたって事はルークの事、本気で愛してたって事よねぇ」
「うん、それだけが救いかな。もし記憶が残ってたら僕は愛されてなかった事になるから、実はそっちの方が怖かったんだ…」
「一番愛してる人の記憶を消して、術者の事を愛するように記憶を書き換えるのが、テンプテーションの仕組みだからぁ」
「もう一度、僕の事を愛してもらえるように、頑張ろうと思う。今は僕の事を忘れてしまってるから、この家に置いてもらえるように、フラウおばさんにも話してくるよ?」
「わかったわぁ。最近、金欠でメイドを解雇しちゃったから、私がメイドみたいな事してたのよねぇ」
ルークとローラは散らかり放題の部屋に通されました。
「リリム姉さんもメイドの仕事が適職だと思うから、アラヴェスタの邸にでも働きに行けば良いよ?給料はかなり良いらしい」
「そんな事したら夜のサービス、強要されちゃうじゃなぁい?私のサービスは一人一回限定なのよぉ」
「寿命を吸い取ってしまうからだよね。難儀な能力だなぁ」
「パパがいけないのよぉ。私のママにこの能力を授けたから、私にまで遺伝しちゃって」
「なんでお父さんはお母さんの前世のリリスにそんな能力を授けたりしたんだろ?」
「ママは人間だったからよぉ。ほっといたらすぐに死んじゃうでしょ?だからこの能力を与えて、パパの寿命を吸わせてたんだと思うわぁ」
「なるほど、合点がいったよ。僕がもしお父さんの立場だったとしても、同じ事をしたかもしれない」
「でもママが死なずに長生きしてたら、パパの寿命を吸い尽くして、パパが先に死ぬじゃなぁい」
「確かにそうだね。リリスは殺されたって聞いたんだけど」
「パパを助ける為だったんじゃなぁい?天界のエリートで、右に出る者がいない天才だと謳われてたしぃ」
「でも僕がお父さんだったとして自分のせいで愛する妻を殺されたりしたら…。きっと生きる気力を失ってしまうと思うよ?」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第333話。