高級宿屋に到着して特別室に通されます。ウィルスに服を脱ぐように言われて、ローラは言う通りにしました。
「ふむ、肌の黒い女には興味はなかったのだがルーク殿が毎晩この女を抱いているのかと思うと、興味が湧いてくる」
ウィルスに胸を弄ばれてもローラは無表情のまま身動き一つしません。
「こんな反応の薄い女は初めてだ。ルーク殿はこの女を抱いて楽しいのだろうか…」
その時、宿屋の窓をぶち破ってルークが現れました。髪が真っ黒に染まっています。背中にはコウモリの翼が生えていました。
「ウィルスさん…。あなたはやって良い事と悪い事もわからないんですか?キンダーガートンの子供でもわかる事ですよ」
「どうしてルーク殿にここが…。ステイシーがバラしたのか?」
「ステイシーは何も言ってませんよ。どうせあなたに口止めされていたのでしょう。ただヒントを僕に与えてくれたが、薬を飲まされたならもう手遅れだ…」
ローラはウィルスを守るように、手を広げてルークの前に立ちはだかりました。ルークは胸ポケットからナタに作ってもらった解毒剤を取り出して言います。
「ローラ、この解毒剤を飲んで」
「あなたの言う事など聞きません。私はウィルス様のものです」
「やはり僕の事を忘れてしまったんだね」
「あなたは誰ですか?ウィルス様を傷付ける者は許しません!」
「ウィルス、ローラに命令して。この薬を飲むように。そしたらお前のした事を許して、殺しはしないから…」
「わ、わかりました。アウローラ、あの薬を飲みなさい?」
「ウィルス様がそう仰るなら…」
ローラはルークの手から小瓶を受け取ると、一気に飲み干しました。ルークは脱ぎ捨てられた服を拾ってローラに手渡します。
「ううっ…!頭が痛い。私はなぜこんなところにいるの?」
「家に帰ろう?ゆっくり休んだ方が良い」
「家ってマルヴェールの?」
「アラヴェスタにある僕たちの家だよ?」
「私の家はマルヴェールにあるはずだけど…」
「僕と君は結婚して一緒に暮らしていたんだ。記憶は消えてしまったんだろうけど」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第332話。