一ヶ月後もルークは飽きもせず、同じ店で買った卵サンドを自分の席でかじっています。
「また卵サンドですか…。たまには別の店に行きません?」
「僕はこの卵サンドが食べたいんです。せっかくですが、すみません」
「その店の卵サンドって時々、腐ったような味がしませんか?なんだかベタベタしてるし…」
「うーん、今のところそんな事はありません」
「あなたとランチに行くのが密かな楽しみだったのに…。どうしてこんな事になってしまったの?悔しい」
「ランチに誘えなくなったのは申し訳ないですが、家のローンの事もあるので安い店でランチを済ませたいのですよ」
「アウローラがあの店でアルバイトなんか始めなければ…」
「家のローンの事で妻も気を遣ってアルバイトを始めたみたいなんですよ。妻の元気に働く姿を見られるので、別の店に行きたいとは思えなくて…」
「あなたから一心に愛されているアウローラが憎い…」
「なぜローラを憎むんですか?ローラはあなたに対して何もしてないでしょう」
「憎んではいけないと思っていても妬む気持ちが沸き起こってしまうのです…」
「僕はローラに危害を与えるような相手とは決して仲良く出来ませんよ?」
「危害を加えるつもりはありませんが、あの店の前を通るたびに胸が痛いです」
「これは言うべきか迷ったのですが、僕とあなたが食事をしているところをローラは見てしまったようで、その事で離婚したいと言われたんだ」
「そんな事があったなんて…。私のせいでごめんなさい!」
「その後、あなたを避けるべきか悩みましたがまた食事をしましょうと約束していたので、避けられなかったんです」
「急に避けられたら嫌われたのかなって悩んでしまうところでした…」
「あなたを傷付けるつもりはありませんでしたが、あなたと妻のどちらか一人を選べと言われたら、僕は迷わず妻を選びます」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第302話。