パートナーの女性と一緒にランチに出かけました。焼きたてパンの店の前を通りかかった時にルークは目敏くローラの姿を見つけます。
「ローラ!こんなところで働いてたの?」
「うん、いつも買いに来てたんだけど、アルバイト探してるっておじさんに言ったら雇ってくれたの」
「それじゃ今日からランチは毎日ここにしようかな?」
「私はただの店番だから、このパンを焼いてるのは店長のおじさんなんだけどねー」
「オススメのパンってどれかある?」
「えっと…。あっ、そうだ!この卵サンド私が茹でた卵使ってるよー」
「じゃあこの卵サンドにするよ」
パートナーの女性はその様子を黙って見ていましたが、ルークがパン屋から出て来ると言いづらそうに切り出します。
「あの…このパン屋さんは安いけど、味が良くないのであまりオススメ出来ません」
「そうですか。気に入らないなら、あなたは別の店で何か買って来たら良いですよ。僕はあちらのベンチで待っていますので」
「もっと美味しい焼きたてパンのお店を知っていますから、ここで買うのはやめましょう…」
「それは残念ですね。僕はここに通う事に決めたので、これからはあなたとお昼はご一緒出来ないと思います」
「アウローラがこのパン屋で働いてるから、毎日通うつもりなのですか?」
「ええ、いけませんか?ローラの顔を見られるだけで、僕は幸せなんです」
「家に帰れば顔なんていくらでも見られるでしょう?」
「でも今まで仕事中に会う事は出来なかったので、こうして昼休みに顔を見られるのはやはり嬉しいですよ?」
ルークの心眼でパートナーの女性から少し濁ったオーラが漂い始めた事に気付きました。
「すみません、一人でランチに行って来ます」
「こちらからランチに誘ったのに申し訳ないです」
「いえ、いつも誘っていただいて、ご一緒出来るだけで私は幸せでした…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第301話。