リリムは空の上で机でも叩くようなパントマイムをします。
「私のママは長寿の薬で寿命を延ばしてるでしょ?勇者様も寿命延ばせば良いじゃなぁい!」
「ナターシャは本来、生きられるべきだった年齢まで寿命を延ばしてもらう事にしてます。あやうく十六で亡くなってしまうところでした」
「どうしてジュリーのパパは寿命延ばさず、さっさと死んじゃったのかわかんないしぃ」
「仮に長寿の薬を飲んだとしましょう。死ぬべき時が来たのに死を恐れて、また長寿の薬を飲みたくなってしまいます。私はそうなるのが怖い」
「じゃあママにはなんで飲ませてるのぉ?まずいから飲みたくないって言ってたわよぉ」
「ナターシャはまだ死ぬべき時ではないからです。ティターニア様もナターシャの為ならばと言ってご自分の命を削って分け与えてくださっている」
「その意見、筋が通ってなぁい!勇者様だって死ぬべきじゃないと思うわぁ。この世界の崩壊を止めてるのはあなたなのよぉ?私、人間の寿命が見えるんだけど、勇者様の寿命はあと…」
「言わないでください。知りたくありません」
「そうよねぇ。知ったら怖くなっちゃうから、ごめんなさぁい」
「もう長くはないような気はしています。最近あちこち体の調子がおかしくなってきている」
「長寿の薬の材料は勇者様が妖精に頼めば分けてくれるはずよぉ?妖精は死を恐れないから、寿命が縮むのなんか怖がらないしぃ」
「妖精の寿命を奪ってまで長生きしたいとは思いませんよ」
「勇者様の精気、すごく美味しそうなのにぃ。ピュアな心を持った者の精気は格別なのよぉ」
「ところでリリムさんに精気を吸われると、寿命はどれくらい縮むのですか?」
「えっ、一年くらいかなぁ?吸った量にもよるんだけど、一年以上は吸わないようにしてるしぃ。だから私のサービスは一人一回限りなのよぉ」
「そうですか。そのくらいなら喜んで差し出す男は多いでしょうね…」
「勇者様の精気は美味しすぎて、いっぱい吸っちゃうかも?途中で死んじゃったりして…てへぺろ!」
「そんな風に死ねたら恐怖もなく幸せで良いかもしれませんね」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第174話。