建物と建物の隙間に入ると弱い結界を張って普通の人には見えないようにしました。大通りに面しているので人の行き来が激しいです。
「あの弱い結界ってジュリーには中見えちゃうんだよね?」
「リリム姉さんにも見えてると思うけど、どうでも良いよ」
ルークはローラに軽くチュッとキスしました。更にギュッと抱き締めます。
「誰かに見られるかもしれないって思うとドキドキする…」
「そう?僕は全然、気にならないよ」
「もう一回キスして?」
ルークは言われた通り、もう一度キスします。
「大好きだよ、ローラ」
「ワガママばかり言ってごめんね…」
「好きな子のワガママは可愛いって感じる…。もっとワガママになっても良いよ?」
「嫌われたくないのに、どんどんワガママになって行くの」
「良いよ?僕は全然、嫌じゃない…」
上空ではコウモリの翼を生やしたリリムがイライラしながらその様子を見ていました。ゲイザーに言霊で報告します。
「勇者様ー、ルークとローラが路地裏でイチャイチャしてるのよぉ!こんなのもう見てらんないわぁ」
「そうか、引き続き監視をお願いします」
「やだぁ!リリムも勇者様とイチャイチャしたいのにぃ。たまにはご褒美くれないと…私、家出しちゃうんだからねっ?」
「ご褒美ですか?パティスリーで流行りのケーキでも買ってくればよろしいでしょうか」
「魔族がケーキなんかで喜ぶと思ってるの?」
「うーん、魔族が喜ぶ物と言っても人間の私には何も思い付きませんね…」
「勇者様の精気が欲しいのぉ。寿命がちょこっと縮んじゃうけどねぇ」
「寿命が縮むのは困ります。禁断の果実を食べた私は普通の人より寿命が短いですので」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第173話。