リリムは目をキラキラ輝かせながらゲイザーに言霊を送ります。
「それじゃ勇者様の残りの寿命、全部吸っちゃっても良いかしら?たっぷり特別サービスしちゃうわよぉ」
「ハハハ!残りの寿命がどれくらいかわかりませんが、せめて娘が嫁に行くまでは生きていたいですね…」
「ルークは卒業してすぐに結婚するって言ってたから、ギリギリセーフで間に合うかもねぇ」
「と言う事は残り三年か…。思っていたより短かったな…」
「えっ、どうしてわかっちゃったのぉ?勇者様ってもしかして予知能力者だったとか…」
「予知能力などありませんよ?さっきリリムさんが言ったんじゃないですか…」
「えーっ、言ってないと思うんだけど?」
「はぁ…。知りたくなかったが、三年後までに心の準備をしておこう」
リリムと言霊を終えてから、ゲイザーは遺言書に何を書こうか悩み始めました。
「私の著作物の印税が死後五十年間は身内に入る。アウローラはルークがいれば私がいなくても大丈夫だろう。問題はフラウだな…。フラウの寿命も普通の人より短いはずだが、リリムさんに聞いておくべきだろうか?」
ゲイザーは空き時間を見つけてはタイプライターを打ち続けて長文の原稿を何枚も書いて金庫に仕舞いました。ルークはローラと別れて家に帰って寝ようとしましたが、直前までイチャついていたので興奮して寝つけません。
「ああ!眠いのに寝られない…」
仕方ないので宿題を適当に片付けたり、日課のトレーニングをこなします。
「ダメだ!どうせ寝られないなら、もう少しローラと一緒にいれば良かった…」
送るまいと思っていたけどローラに言霊を送ってみました。
「今、宿題してるところだよー」
「そうか…。邪魔してごめん!」
「ちょうどわかんないところがあったの」
「うん、教えてあげるから問題読み上げて?」
「血液は人間が生きる為に必要な何を運んでいますか?って言う問題。難しすぎるよ…」
「えっ、それ簡単だよ?酸素と栄養」
「えーっ、たったそれだけ?もっと難しく考えちゃってた」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第175話。