アークとミカエルとリリムが酒場の屋上に舞い降りました。ナタとルークはルーシーの背中から酒場の屋上にぴょんと飛び降ります。アークが槍を振り下ろして天井をぶち破りました。そこから中に飛び降ります。ゴロツキたちは震え上がりました。魔術師たちは慌てて土下座しています。
「確か伝承の通りならば…その者、漆黒の髪と漆黒の瞳を持ち、世界を滅ぼすであろう…と記されていました。どうかお怒りをお鎮めください!魔王様」
「僕の身内に手を出すなと言っておいたはずだが?約束を破ったな!」
「魔王ルシファー様!どうしてここに?約束を破ったと言われましても、あの娘はルシファー様とは無関係の他人のはずですが…」
「お前らが拐ったのは僕の息子のフィアンセだったんだ!三親等以内の者は婚姻届が受理されないので、離縁してもらっただけだが?」
「ルシファー様のご子息のフィアンセだったとはつゆ知らず…。ご無礼を働きました!しかし今は強力な結界があって我々も近づけません」
ゾロゾロと地下室に降りると、ゲイザーがぐったりしたローラをお姫様抱っこしながら、結界から出て来るところでした。
「おじさん!僕のせいでローラを危険な目に遭わせてしまってごめんなさい…」
「いや、ルークの結界のおかげで助かったんだよ?ルークには感謝している…」
アークは魔術師にドスの効いた恐ろしい声で怒鳴り付けています。普段の冷静沈着なアークの喋り方とは全く違っていました。
「息子のフィアンセが無事だったから今回は許してやるが、今後こんな事があったらお前たちを皆殺しにしてやるからな?わかったら返事をしろ!」
「は、はい!申し訳ありませんでした…」
いつも威張り散らしてる魔術師たちが、アークの前ではヘコヘコ頭を下げているので、ゴロツキたちも大口を開けて唖然としています。
「あのお姫様って…魔王の息子のフィアンセだったのか?」
「そんな大切なお姫様を孕ませたりしたら、俺たち皆殺しにされる…」
ルークはナタにこんなお願いをしました。
「ねえ、お母さん。僕をローラの使い魔にして欲しいんだ」
「えっ、ルークがローラの使い魔になるの?」
「うん、なんか言霊があると便利だなぁと思って。遠くにいてもローラと話ができるし」
「そうね。お父さんは無駄な言霊をしょっちゅう仕事中に送って来るけど、全部シカトしてたわ」
ナタは胸の谷間から真っ白なカードを取り出して呪文を詠唱すると、学生服を着た金髪のイケメンがカードに浮かび上がりました。
「はい、ローラ。このカードの契約者名はアウローラで登録しておいたから、ローラにしか召喚できないわ。言霊も飛ばせるようになるの」
ローラはカードを大事そうに胸の谷間に仕舞い込みました。
「今日はこのまま連れて帰ります。ルークは一晩泊まらせてから、明日家に帰しますので…」
「その方が良いね。僕も今日はナタと二人っきりで過ごしたい気分なんだ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第131話。