スラム街の上空に来るとリリムもキョロキョロ辺りを探し回っていました。
「リリムも来ていたのか…。ゲイザーは見つかりそうか?」
「それが全然見つからないのよぉ。もうずっと探してるのにぃ」
「リリムにも心眼があるはずだから、見つからないのは不思議だな…」
「付いて来ちゃダメ!って命令されてたから、家で待ってたんだけど…。言霊で助けてって言われて慌てて探しに来たのにぃ」
「護衛も付けずに敵地に赴くとは…。どうせ脅迫文で指示されたのだろうが、馬鹿正直にもほどがある!」
「おそらくアウローラを殺されるであろう状況を一つでも排除したかったのでしょう。今は言霊を飛ばしていると言う事はアウローラを保護したのだと思われます」
「言霊で状況を詳しく聞いてくれ。僕はゲイザーの使い魔ではないから、言霊は飛ばせない」
「ふふ、言霊は便利ですからね。私は先ほどカードの封印を無理やり解除してしまったから、神通力が届かないのです…」
「ああ、だからナタとの契約は解除しなかったんだ。こんな便利な機能をなくすのは惜しい」
「今リリムの言霊飛ばしたら、ルークの結界の中にいるって言ってたわぁ」
「ルークの結界の中にいるのか…。それなら身の安全は確保されているな」
ナタとルークも翼の生えた獣のルーシーに乗ってスラム街の上空にやって来ました。
「ルーク、お前の結界の中にゲイザーはいるようだが、心眼でも見つからない」
「ああ、あの結界は全ての魔法を遮断してしまうから、言霊だけは通るようにしてあるけど、他の魔法はほとんど無効化されてしまうよ?」
「と言う事は心眼では見えなくなっている場所を見つければ良いと言う事か?」
「そう言う事になるね。心眼を使っても見えない場所は普通ならないから」
アークは目を閉じて暗闇の中に暗闇を探しました。一箇所、何かを飲み込むような渦が見えます。
「見えた!あそこだ…」
「本当ですね。まるでブラックホールのように見えます…」
「あの結界はおじさんとローラ以外は通れないと思う。オーラの色が違う人は全員排除してしまうから僕にも解除できないよ。二十四時間のインスタント結界なのだけど…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第130話。