部屋の壁に掛けてある時計をチラ見しながら、ルークはため息混じりに呟きました。
「もうそろそろ帰らないとダメだな…。お父さんにあの書類を早く見せないと」
「あの書類って…なぁに?」
「悪い事してる魔術師たちが裏口入試の斡旋してた証拠の書類だよ。ワイロの額も記載されてたよ?」
「なんだか難しそうな事件の証拠の書類だね。うちのお父さんには見せたの?」
「先に君のお父さんに見せたよ。僕のお父さんに見せたら、なんとかしてくれると思う」
「ルークはすごいね。私には真似できそうもないわ。大人の悪い人たちの事件に首を突っ込むなんて…。何か事件に巻き込まれるのが怖くないの?」
「ローラは首を突っ込んじゃダメだよ?こいつらは相当ヤバイ連中みたいだから…」
ルークはスクールバッグから、雫型の魔法石のネックレスを取り出しました。革紐は長さを調整できるチョーカーになっています。それをローラの首から提げてあげました。
「このペンダントトップは結界石になってる。僕が印を刻んでおいたから、ピンチになったらこれを床に叩きつけて割って。強力な結界が張られる」
「うん、わかった。ありがとう!すごく綺麗なペンダントだから割りたくないなぁ」
「いざと言う時まで使わないで。強力過ぎて触ると大怪我する人もいるからね」
「そんなに強い結界なんだ?ルークに初めてもらったプレゼントだから、壊さないで大事にしたいよ」
「お守りだよ?いざって時が来なければ使う必要はないさ」
「ところでこれって普通に買うといくらくらいするやつなの?」
「魔法石は安いから子供のお小遣いでも買える値段だよ?革紐の方が高いくらいさ」
「結界石みたいな印が刻んであったら高くなるんでしょ?」
「印を刻むのは第一級魔術師に依頼したら何千万とかぼったくるんじゃないかな?多分」
「じゃあこれ何千万も価値があるの?うっかり壊さないか心配になってきたわ」
「うーん、相当複雑な印で強力な結界だから、億単位ぼったくる奴もいるかもね?」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第112話。