ゲオルグはシェルフの中に乱雑に詰め込まれた書類の束の中から、何枚か文書を取り出して来ました。
「これは裏口入試の名簿の原本だ。名だたる第一級魔術師の多くが、裏で金を積んで入試を通っておったんじゃよ?」
「すごい大事件の証拠じゃないですか!なぜこれが明るみにならなかったのかな?」
「トカゲの尻尾切りだよ?部下を何人か金で買って罪を被らせて逃げ切りおった!」
「僕、お爺ちゃんがこんなすごい人だなんて、ちっとも知りませんでした」
ゲオルグはルークに褒められて気を良くしていました。
「昔はわしも立派な貴族の産まれの騎士じゃったんじゃよ」
「やっぱりゲイザーおじさんの親だから、すごい人だったのか…。勇者の親がダメオヤジなわけない!って思ってたんだ」
「みんなわしの事をダメオヤジだと思っとるんじゃろ?わかっとるわい!」
「この証拠、ちょっと貸してもらえませんか?僕も色々と調べてみたいんです」
「うーむ、大事な証拠なんじゃが、ルークは孫みたいなもんじゃからなぁ」
「僕がお爺ちゃんの代わりにこの不正を世の中に知らしめたいんです」
「おお、ルークはわしの代わりにこいつらをとっちめてくれるのか?」
「お爺ちゃんは実はすごい人なんだってみんなに教えてあげたいんだ」
「そうか、そうか?それなら貸してやろう!」
ルークはとんぼ返りでゲイザー邸に戻って来ました。書斎にいるゲイザーと話します。スクールバッグから書類を取り出しました。
「さっきゲオルグお爺ちゃんにこれを借りて来ました」
「こんなものを子供に見せるなんて…。父上は何を考えてるんだ?全く!」
「無能な第一級魔術師が多いなぁって思ってたんです」
「この件には関わらない方が良い。裏で動いてる人物がいるからな…。ありとあらゆる手を使って潰しに来る」
「それって第一級魔術師連盟の総帥の事かな」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第102話。