ローラの姿をしたルークは、大きく手を振ってごまかしました。
「いや、こっちの話だよ?気にしないで」
「俺、頭あまり良くないから話しても楽しくないか?」
「頭が良くないんじゃないよ。使っている部分が違うだけだ。例えば君は右手を動かしたい時に、右手を動かそうとは考えていないだろ?」
「何も考えずに体は動いてる。体を動かすのは得意だ」
「それは無意識に考えてるんだけど、気付いていないだけなんだ。君はこの前の試合でマナが底を尽きた時もすぐに察していたけど、なぜわかったんだい?」
「なんとなくだ。魔術師から感じる嫌な波動を感じなくなった。魔力の低い剣士から感じる淀みない波動に変わった」
「その考えずに察する能力は僕にはないから羨ましいよ?」
「うーん、ローラとはあまり喋った事がなかったが、まるでルークと喋ってる気分だ…」
その頃、ルークの姿をしたローラは体術訓練場に来ていました。ルークだと思い込んでいる先輩がいつものように近づいて来ます。
「ルーク君、また来てくれたのね!」
次の瞬間、ローラは先輩に壁ドンをしました。
「ル、ルーク君!ど、どうしたの?急にこんな事するなんて…」
「先輩は僕の事、好きなんでしょ?」
「そ、そんな事…。言えるわけないでしょ?」
「ちゃんと答えてくれたら、ご褒美にキスしてあげるよ?」
「はい、好きです!ああ、こんな展開になるなんて…。私は夢でも見てるの?」
先輩がほっぺをつねっています。
「痛い…。と言う事は夢じゃない!」
ローラが先輩のほっぺに軽くキスすると、ジュリーが二人の間に割って入ってきました。
「ダメよ?ルーク君は私の恋人なんだから、浮気は許さないわ」
「ジュリーお姉様!私、お姉様が恋のライバルになるなんて、夢にも思いませんでした」
「ルーク君に話があるから連れて行くわね?」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第78話。