ルークはフラウの一番好きなあの考え込むポーズを取りました。
「お父さんの事を調べ始めて気付いたんだけど僕はお父さんが褒められると、その人に好感を抱いてしまうみたいなんだ。あの魔術師もお父さんの事を褒めちぎってたから、良い人に見えてしまった」
「私も好きな人を褒められるのが嬉しくて、自分が褒められるより好感を持ってしまってたわね」
「逆に家族の悪口を言われると嫌いになる。自分を悪く言われるより家族の悪口言われる方が腹が立ったりしたよ?」
「夫の悪口を言ってる他の奥さんたちと気が合わなくて、私は夫の悪口は言わない派だから」
「そんなに嫌いならなんで結婚したんだよ?って心の中でツッコミ入れてた…」
「でもあれはあれで、幸せな夫婦みたいよ?」
「ふーん、僕はまだ子供だからよくわかんないや」
ルークが出勤すると、同じ魔術課のユリアーノが、人の少ない物陰でルークに話しかけて来ます。
「ゲオルグと言う名の新人が来ると聞いておったが、お主じゃったのか…。九歳で働くとはそこまで家計が苦しかったのか?」
「おや、ユリアーノ様には僕の正体が一目でバレてしまいましたね…」
「お主をスカウトした魔術課の人事部の男は下っ端じゃから、見抜けなかったんじゃろ?魔力も大した事はない」
「あれでも大した事はないんですね…。僕とほぼ同じくらいの魔力がありましたが、僕も所詮は下っ端にしかなれない存在、って事か」
「お主は九歳でそれじゃからなぁ。まだまだ伸び代はある。あの男はもうあれ以上は伸びんから、永遠に下っ端じゃろうな。正直言ってわしから見たらただの雑魚じゃよ?」
「それは僕も雑魚って事ですよね…。ちょっとショックだなぁ」
「少し口が悪くなってしまったのぉ。悪い噂を耳にしたものじゃから、ちと気になっておってな」
「悪い噂…と言いますと?」
「どうやらフォンの暗殺を目論んどる者がおるようじゃ。獣人がアラヴェスタ国王をやっとるのが気に入らんらしい」
「あいつらはそんな良くない事を企んでいたんだ…。お母さんの言ってた事がだんだんわかってきたよ?」
「まあわしがフォンの護衛をしとるから、あいつらごときではフォンは暗殺されんよ?」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
どうしても書きたくて書いた裏の続き、第59話。