少し時間を戻して闇市の特殊テント内。サルバドールがテントを破いてしまったので、無理やり応急処置して新しい結界が張ってあります。それは物理攻撃でも破れない結界でした。基本的にここに来るのは収入の高い魔術師がほとんどなので、前までは物理攻撃耐性のない結界だったのです。サルバドールに勝った魔術師が新しいカードを購入に来ています。
「こちらの商品になります」
「ほほう、この魔獣は強そうだな…」
闇市の元締めが魔獣を召喚して見せると、召喚者に襲いかかって噛み殺してしまいました。ナタが呪いを解いてしまっていたからです。
「こ、これは…!どう言う事だ…?」
魔獣は唸り声を上げながら魔術師に襲いかかろうとしましたが、間一髪のところで躱します。
「呪いが効いていないだと…?どうしてだ!」
魔獣はサルバドールが破いた穴を飛び出して、逃げて行ってしまいました。物理と魔法の両方の耐性がある結界は魔法耐性に特化している前の結界よりも弱くなっていたのです。
「そんな!あの結界を簡単に破るなんて…。あんな恐ろしい魔獣を相手に出来る奴はルシファーしかいないじゃないか?」
ルークとユリアーノが魔法課の方へ戻って来ると、何やら課内がざわついています。
「あっ、ルシファー様!ちょうど良かった…」
「僕の名前はゲオルグですよ?ルシファーに顔が似てるからって間違えないでください」
「す、すみません…。凶悪な魔獣が脱走したと言う通報が今、電報で届いていて…」
「僕にその魔獣と戦えと言うんですか?」
「はい、我々では手に負えない可能性があります」
「新入りで下っ端の安月給な僕にどうしてそんな事を言うんですか?関係ないでしょう」
「魔法課の者たち全員で行っても怪我人が増えてしまうだけです。お願いします!」
「仕方ないなぁ。ユリアーノ様と二人で行ってきます」
「ユリアーノ様もいれば百人力ですね!」
この魔術師はごますりだけはやたらとうまいようです。ルークはユリアーノと一緒に魔獣を探しに行きました。
「この付近か。どうやら闇市のテントから逃げ出したようじゃな…。だとしたら相当手強い魔獣じゃぞ?」
「話し合いで解決出来たら良いのですけどね」
「お主はナターシャと同じように魔獣とも話せるからのぉ」
「やれやれ、安月給でこき使われるなんて下っ端は割に合わないなぁ」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第60話。