ルークはナタに事の顛末を説明しました。
「総帥になるのは断ったけど、働く事はどうしても断りきれなかったんだ…。契約破棄の書類にサインすると違約金を支払わなくてはならなくて、一般職員になる事にしたんだよ?」
「そう…。色々と面倒な事になったわね」
「あっ!この天使の柄の布はネクタイかな?すごく大事そうに仕舞ってあるけど…」
「ああ、それは…私がまだアカデミーに通ってた頃にアークにプレゼントしたネクタイだわ」
「めちゃくちゃダサいけど、昔は流行ってた柄なの?」
「アークが付け始めてから、しばらく流行ってたかも?あの頃の私はまだ頭の中がお花畑だったから、そんな恥ずかしい柄のネクタイを選んじゃったのよねー。アークは平然と付けて出勤してるし…」
「ふーん、じゃあこれ明日の朝付けて行っても良い?」
「絶対にダメ!そんな時代遅れのファッションしてたら周りに笑われちゃうわよ?」
「お父さんに見えるように、お父さんのしてた事を真似して行動しなきゃならないんだ」
ルークは議員の黒服を羽織って、天空に羽ばたく天使の絵の描かれたネクタイを締めました。その姿を見たフラウの頰が、ほんのり赤く染まっています。
「ルークがその服を着てると本当にアークそっくり…。まるで生き還ったみたいね」
「あれ…フラウさんってもしかして…お父さんの事が好きだったの?」
「えっ…それは…!どうしてそう思ったの?」
「さっき僕の顔を見た時の反応が、ミッシェルにそっくりだったからさ?」
「その黒服が一番似合ってるわ。アークにしか見えない…」
「このネクタイも似合ってる?」
「どんなにダサい柄でもアークが付けちゃうと着こなして、オシャレに見えちゃうのよねー」
「本当だ!付けて見たらそこまで変でもないかも」
「アークもそれが一番お気に入りだと言ってたわ」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第58話。