ルークはやっと自分の過ちを理解したようでした。
「うん、わかった!明日、返しに行ってくる」
「またあの邸に行くのは危険じゃないか?別に返さなくても、これはもらっちまってドロンするって手もあるけど…」
「紙幣には通し番号があるから、硬貨より足が付きやすいよ?」
「あっ、そうなんだ?これ使うとすぐバレるって事か」
「紙幣は持った事もなかったけど、なんでお母さんは硬貨しかお小遣いを渡さないのかな?って不思議だったんだ。お小遣いを多めにもらった時も全部硬貨でくれてた」
「おじさんがアラヴェスタのお金は硬貨しか持たない主義だったからよ。おじさんの真似してるだけ」
「最初は札束より硬貨の方が重いし、安くてもお金持ちになった気分になれるからだと思ってた」
「ふふ、確かにそれは言えてるわね」
ルークは重力魔法で軽くしたトランクを持って邸を訪れました。
「ルシファー様、これは一体…」
「昨夜、妻に叱られました。これはお返しします」
「返すと言われますと…まさか!総帥の座を辞退されると言う事でしょうか?」
「そうなりますね。悪銭身につかず…と言いますから、妻もそれで腹を立てていたんじゃないかな?」
「くっ!嫁の尻に敷かれていると言う噂は聞いていたが、これほどまでとは…」
「それでは僕はこれで失礼します。もう会う事もないでしょう」
「ま、待ってください!子供の約束とは違うのですよ?この書類を破棄する為には、それなりの手続きが必要になります」
「えっ!そうか…。大人は色々と手続きが面倒なんですね」
「こちらのお部屋の契約破棄書類にサインした場合でも違約金の支払いが発生しますが、名義はルシファー様になっておりますので、私はお支払いする義務はございません」
「ううっ…違約金なんて払える余裕は僕にはないです」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第56話。