秘書がトランクを開けて、札束の山がドサッと机の上に置かれました。
「これは前金と言うか、支度金ですね。引越しなど色々とご入用でしょう?どうぞ、お納めください」
「こ、これは…!いくらあるんですか?」
「とりあえず二千万ほど…。総帥の給料は月収一億ですので、残りの八千万は月末にでも銀行口座に振り込ませます」
「い、一億も?」
「はい、当然の金額でしょう?もしや少なかったでしょうか…」
「い、いえ。こんな大金、見た事もなくて…」
「トランクは使いの者に持たせますので、マルヴェールまでご一緒にお供させてもよろしいですよ?」
「いや、マルヴェールに赤の他人は入国出来ませんので、僕が自分で持って帰ります…」
「しかし二千万の入ったトランクは…重いでしょう?」
「そうですね…。でも魔法で重力を操れば軽く出来ますし、何とかなりますよ」
「流石、ルシファー様」
「こ、これくらい初級魔法ですから、子供でも使えると思いますが…」
「重力魔法は特性のない者は扱えません」
「僕は特性だけは多くて、回復魔法は苦手ですが、それ以外は大体行けますね」
「回復魔法など、必要ないですよ?」
「そうでしょうか…。大事な魔法だと思いますが」
「いえ、貴方様に怪我をさせられる者など、そこら辺に易々といないからです」
「僕以外の怪我人がいても、回復魔法をかけてあげられません」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第53話。