それを聞いてルークの顔色が変わりました。拳を握りしめてプルプル震えています。
「今、なんて言いましたか?よく聞こえなかった」
「ナターシャさんがいじめを苦に飛び降りたんです。それでアークはあんな事件を起こしたんじゃないか?ってファンの間では噂されてて」
「知らなかった…。お母さんが半身不随になったのは、いじめが原因だったのか?」
「あなたのお母さんが半身不随だったなんて、知らなかったわ」
「お母さんは人目を忍んで細々と生活してますからね」
「とても綺麗な人だったみたいだけど、ブスとか死ねとか書かれた手紙がたくさんロッカーに入ってたので、いじめ対策法案でそう言う事をしたら、禁固刑にされちゃうみたいでした。今はその法案がもうないので、やりたい放題ですけどね」
「僕のお父さんは悪くなかったんだ!悪いのはいじめてた奴の方じゃないか?」
「私もそう思いました。だからアークのファンになったんです」
「お母さんはいじめに遭ってた話を一度もしてくれなかった。だからなんでお父さんがあんな事をしたのかわからなかったよ」
「どうしてナターシャさんは、その事を話さなかったんだろ?」
「僕に知られたくなかったんだと思う…」
「アークの歌詞はナターシャさんをイメージして書いていたのは、ファンの中では有名な話ですし、歌詞の中でいじめをやめて欲しい!ってメッセージが、ヒシヒシと伝わってくる部分がよく出てきます」
「それが怖いって感じたんだな。この歪んだ感情の獣が暴れ出すみたいな歌詞とか」
「そこだけ切り取ると怖く感じますが、その前の部分で大切な誰かが傷付けられて、怒っているのを感じ取れますよ」
「僕が今、お母さんを誰かに傷付けられたら、お父さんと同じ事をすると思うよ?」
「私もよくいじめられてて思った事があるんです。アークが現れて皆殺しにしてくれないかなって…」
「そんな事を考えてたの?」
「いじめられっ子はみんなそう言ってますよ?アークが現れてくれないかなぁって」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第27話。