邸に帰るとルークは以前のように無口になっていました。サルバドールがルークを見るとわざと逃げるように部屋に戻ります。
「今日もお友達の家に遊びに行ってたの?ルーク」
「うん、お父さんの曲を聴きに行ってた」
また無言になってルークは一点を見ながらボーッとしています。
「どうしたの?今日は静かね…」
「前はいつもこうだったのに…。今は変に感じるの?」
「あなたが元気にしてたから良いなぁと思っただけよ」
ナタは椅子に腰かけたまま猫を膝に乗せています。
「なんで僕に教えてくれなかったの?お母さんがそんな体になった理由…」
「別に理由なんかないわよ?大怪我をした後、ちゃんと治らないだけよ…」
「魔法で治そうと思って自力で勉強してるんだけど、僕は攻撃魔法の特性が高いみたいで、回復魔法は下手らしくて悩んでたんだ」
「魔法では治せないわ。私は補助魔法や回復魔法に特化して魔法を習得してるけど、それでも無理だったからあなたにも無理よ?」
「お母さんはどうして攻撃魔法をあまり覚えなかったの?」
「必要最低限で良いから。初級の攻撃魔法は全部取ってあるわ。魔法科の必須科目になっていたし…」
「お母さんなら他の上級攻撃魔法も習得出来たと思うよ?」
「誰かを傷付ける為の魔法は覚えたくなかっただけよ」
「地下室に呪いの魔導書がたくさんあったのはなぜ?」
「解除方法を覚える為には呪いの仕組みを覚えないとダメだからよ?」
「お母さんが僕の目標だったんだ。お母さんみたいに立派な魔法使いになりたいって…」
「私は立派な魔法使いじゃないわ。使い魔に世話をさせて自分では何も出来ないダメな女よ」
「今はお父さんを目標にする事にしたよ。僕はどうやらお父さん似のようだから…」
「良いところも悪いところも全部、お父さんに似てるわね」
「お父さんの曲は全部覚えたから、いつでも歌ってあげられるよ?歌って欲しい曲あるかな」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第28話。