時間を戻して、シェルター内で子供の姿のルークとミッシェルは話しています。
「あなたが好きなのは僕じゃなくて、このレコードのジャケットになっている、僕のお父さんの方だと思いますよ?」
「私の初恋の人だったの…。このレコードを聴いて、こんな優しい歌詞を書ける人なんて、素敵な人だって思ったわ」
「僕が大人になった姿を見て驚いたでしょう?街で僕を見た人も驚いてましたからね…」
「最初は気付いてなかったんです。このレコードを聴いてたのは随分前だったし、最近は忙しくて聴いてなかったの」
「きっと記憶の片隅にあったんだと思います」
「片想いだと思っていた、あなたから話しかけられたのが嬉しくて、舞い上がってました…」
「僕はアークじゃなくてルークなんです。見ての通りアカデミーに入る前の子供ですよ」
「今のあなたを見ていてもドキドキするの。私はショタコンじゃなかったはずなんだけど…」
「母性本能ではないでしょうか?女性なら子供を見ると愛らしいと感じるようです」
「あの事件はもう十年も前の出来事ですし、みんな忘れかけてます。当時のアークの事を知るファンは何かの間違いではないの?って思ってるみたい…」
「この歌詞を聞く限り、凶悪犯罪者とは思えませんね。あの雑誌のインタビューでは歌詞が怖い…と言う意見が多かったですが…」
「人は事件が起こると急に意見を変えます。それまで良いと言われていた物も悪いと言い始めるんです…」
「バイアスがかかってるんでしょうね。あの殺人鬼が書いた歌詞だから怖い…と言う具合に」
「私もいじめに遭ってたから、いじめ対策法案を作った話とか、この歌詞を聴いて悪い人とは思えなかったの…。いじめに遭って登校拒否になってた子は全員生き残ってますし、そう言う人にアークは良い人だって意見もあるみたい」
「僕も時々、父親の血が騒ぐ時があるんです。陰口ばかり叩いている近隣住民を皆殺しにしてやりたい…とね」
「でもあなたはそんな事しないと思う…」
「僕がそんな事をしたらお母さんが悲しむからやりませんよ?」
「アークもナターシャさんが自殺未遂なんかしなかったら、あんな事件は起こさなかったと思うんです…」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第26話。