少し時間を戻してミッシェルが図書館に就職したばかりの頃の話です。
「ミッシェル!何をボーッとしてるんですか?手を動かしなさい、手を…」
「ご、ごめんなさい!」
ルークが図書館で調べ物をする為に大人に変身して現れていたのです。アークの服が物置に残っていたので、それを着て来ています。アークの服は他の人よりもオシャレでした。
「すごく素敵な人…。いつも真剣に何を調べてるんだろ?」
ルークが図書館の管理をしている先輩の女性に話しかけています。所謂、キャリアウーマンタイプで頭が固くて融通の利かない性格でした。
「あの雑誌が気になるので少しだけ見せてもらえませんか?アカデミー無差別殺人事件の重要な資料として保管されてるようですが、なぜあれだけガラスケースの中にあるのかと…」
「十年も前の雑誌ですし、他の資料より紙質も良くないので、保存状態を保つ為ですよ」
「なるほど。手袋をして慎重に読みますので、ほんの少しだけでも読ませてもらえないでしょうか?」
「あなた、若く見えるけど、その歳ではこの事件は知らないんじゃない?」
「知らないから調べてるんです」
「この事件は過去最悪の無差別殺人と言われているの…。だから調べるのはもうお辞めなさい!」
「みんなこの事件の話をしたがらないんです」
「思い出したくないんですよ。思い出すだけでゾッとします!私はあの頃、十九でここに就職したばかりでしたけど、あと一年卒業が遅かったら…と想像したわ?怖くて夜も眠れなくなりました」
「と言う事は…あなたは今、二十九歳なのですね。もっと若く見えました!お綺麗なので…」
「褒めても何も出ませんよ?見た目より老けてるのはわかってるんです!」
「よろしければ次の休日に、一緒に食事でもどうですか?」
「な、何を言ってるんですか?」
「あっ、もしかしてもう結婚されていらっしゃいますか?うーむ、既婚者ではデートするのはまずいか…」
「わ、私はまだ独身です!」
「独身ならデートするのは問題ないでしょう?一度だけでも良いのでお願いします」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第24話。