図書館の奥にある資料室から顔を真っ赤にして先輩の女性は逃げ出しました。ここにはあまり人は来ません。そこへミッシェルが通りかかってルークがガラスケースを見つめているのに気付きました。
「ふむ、魔法で結界を張った強化ガラスのようだ。ガラスケースを破壊するのは簡単だが、そんな事をしたら後が面倒だな…」
「あの…。どうしてその資料が、そんなに気になるんですか?」
「こんなに厳重に保管されているんだから、きっと大事な資料なのだと思うのです」
「私、あの頃まだ子供だったから、この事件はよく知らないんです…」
「と言う事は…あなたはまだお若いのですね」
「ええ、今年就職したばかりなんですよ」
「ほんの少しだけでも良いんです。速読出来ますから、お時間は取らせません」
「確かガラスケースの鍵は館長の部屋にあったはず…」
「館長の部屋はどこにあるんです?」
「館長に頼んでみましょうか?」
「こっそり鍵を持ち出す事は出来ませんか?」
「それは…叱られると思います」
「うーん、どうするかな。館長に頼んで色々と手続きを踏むのは面倒だ…」
「この資料室はほとんど誰も来ませんし、すぐに返却してくださるなら…」
ミッシェルは館長がいなくなった隙を見計らって、絵画の裏に隠された開き扉の中の鍵を一つだけ持ち出しました。そしてルークにそれを渡します。
「この鍵でガラスケースを開けられると思います」
「ありがとうございます。このお礼は後で必ずしますので」
「いえ、お役に立てて良かったです」
「ここで読むと見つかりそうなので、家に帰って読んで持って来ます」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第25話。