ミカエルは少しずつ思い出しながら、昔話を語り始めます。
「二千年前、もしリリムを殺めていたら怒り狂ったルシファーを止める事は、容易ではなかったでしょう。あの時、勝てたのもただ私の運が良かっただけなのです」
「ミカエル様は先を見据えて考えておられるのですね」
「今回はナターシャが生きていたので、ルシファーの怒りの暴走が食い止められましたが、ナターシャが死んでいたら、おそらく私が何度挑んでも隙など見せず、倒す事は出来なかったでしょうね…」
「ナターシャは生き還ったのですよね?」
「ええ、でも幸せとは言い難い状況にいます」
「ナターシャが生きてさえくれれば、私も安心して成仏が出来ます…」
「その成仏の件なのですが、ルシファーの最期の頼みだったのが、あなたを生き還らせて欲しいと…」
「えっ、私はもう生き還れないんじゃなかったんですか?」
「天界の時間は流れていませんが、すでに何千回もあなたが死んだ後の世界を繰り返しているのです」
「すみません…。人間の私には理解の範疇を超えてしまっていて、何の事やらサッパリです」
「私は気の遠くなるほど長い時間、ルシファーと戦い続けていました」
「それはそれは、お疲れ様でした。ミカエル様がそれほど苦戦されるとは…。ルシファーは本当に強かったのですね」
「まさかあんな方法で倒せるとは思いもしませんでしたが、ルシファーはあなたをコピーしようとしていたので、あなたの真似をしたのでしょうね」
「私の真似をしようとしていた…とは?」
「あなたは女性の裸を見ると目を逸らせるでしょう?」
「女性の裸は無闇に見てはいけないと親から習いましたので…」
「そのおかげで勝てたのですよ」
「よくわかりませんが、私の真似をしてルシファーは負けてしまわれたのですね?」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第9話。