ミカエルは過去を操れるウルドの妹で未来を操れるスクルドに頼んで、更に十年先の未来まで時間を進めました。サルバドールはアカデミーを卒業して、アークの息子のルークがアカデミーに来年から通える歳になっていました。
「ルークは私が勉強を教えてるし、アカデミーに通わせる必要はないと思うんだけど…」
「そうね。アークの息子だとバレたら困った事になりそうだし、私もアカデミーに通わせるのは反対だわ」
「おじさんが生きてたら学校に行かないとダメって言われそうだけど」
ルークは無口で無表情な子供でした。まだ十歳なのに、顔はアーク似でかなり美形です。
「お母さんはどうして僕を産んだの?僕のお父さんは無差別殺人の犯人なんでしょ」
「ルーク!誰がそんな事言ったの?」
「近所の人が話してたのを聞いたんだ。みんな僕の事を怖がってる…」
「あなたのお父さんは世間が噂するような悪人じゃないの」
「でも僕が図書館で調べた過去の資料を見てもルシファーはロクな事してないよ?」
「そうなるまでに理由があったのよ」
「だけどこんな事をするのは間違いなく悪人だよね?」
十年前の雑誌を図書館から借りて来ていたのをルークは広げて見せました。
「それは…!まだそんなものが残ってたなんて思わなかったわ」
「お母さんは図書館に行かないからね。この雑誌は重要な歴史の資料として、厳重に保管されていたよ?」
「昔は図書館によく行ってたけど、この体では出歩くのも大変だし、欲しい本だけ頼んで借りて来てもらってたから」
「お母さんがそんな体になったのはお父さんのせいなの?」
「違うわ!これは…理由は話せないのだけど、お父さんは関係ないの」
「どうして理由が話せないの?やっぱりお父さんは悪人だったって事を認めるんだね!」
「ルーク…。こんなによく喋る子じゃなかったでしょ?どうしたのよ、急に…」
「ずっと考えてたんだ。僕のお父さんはどんな人だったのかな?って」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
どうしても書きたくて書いた裏の続き、第10話。