その頃、天界ではアークを孕んだミカエルが執務室に戻っていました。ゲイザーがミカエルの執務室にノックして入ります。メタトロンも来ていました。
「ルシフェルはわしの弟のサンダルフォンとよく似ておる」
「メタトロン様には弟がおられたのですね…」
ゲイザーは驚きながらも尋ねました。
「才能はあるんじゃが使い方を間違えてしまったんじゃ…」
「失礼ながらミカエル様は少し太られたようですが…」
「これはお腹の中にルシファーの魂を取り込んだからですよ?」
「なるほど、妊娠しておられたのですね」
「しかし困った事になりましたね…」
「困った事…ですか?」
「どうやらルシファーの子供がナターシャのお腹の中にいるようなのです」
「ナ、ナターシャも妊娠しているのですか!」
「ルシファーの子供ならば強大な魔力を持って産まれるのは間違いありません。リリスの産んだ娘のリリムもそうでした」
「リリムさんと言うのは…」
「男たちに良い夢を見せて少しだけ生気を奪っていたようですが、男たちはリリムを恨むどころか良い夢を見られて感謝していましたので、リリムは悪質な魔族ではないと上の者は説得してあります」
「なるほど…。その男たちの気持ちが、私にも少しわかる気がします」
「しかしリリムと同じくらいに強い魔族が人間界に産まれてしまうと、問題を起こす可能性があります…」
「まさか…!子供が産まれる前に殺すとでも言うんじゃありませんよね?」
「リリムが産まれたとわかった時も、幼いうちに殺すべきだと言う意見がありましたが、私は断固反対しました。ナターシャの子供を殺す事も反対するつもりでいますよ?」
「流石、ミカエル様。懐の深さに感服致しました」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第8話。