翌朝、フラウはユリアーノのいるアラヴェスタ城へやって来ました。ナタに昨夜渡された、謎の言語の書かれたメモを手渡します。
「ユリアーノ様、ここに書かれてる魔導書をナターシャちゃんが欲しがっているのですが…」
「これは…!危険な呪いの魔導書じゃからな。わしの塔にある秘密の書斎に鍵をかけて厳重に保管しておるわい。今はちょっと仕事が忙しくてな、取りに行ってる暇はないぞ?」
「魔法屋で買うとおいくらになるんですか?」
「うーむ、禁書じゃから裏ルートでなら手に入るかもしれんが億単位になるかもしれんのぉ」
「そんなに?ちょっと予算が…」
「呪いの魔導書なんぞ何に使う気じゃ?」
「私にかけられてる感覚共有の呪いを解いてもらう為です」
「ああ、あれか…。ナターシャにせがまれて仕方なくわしがかけた呪いじゃな。ナターシャに最初に渡した五枚のカードにはわしがかけてあったが、それ以外はナタが自分でかけたと言うのか?」
「多分、ナターシャちゃんの持ってるカードには、全部かけてあると思います」
「あんな呪いを使いこなすとは末恐ろしい子じゃな…」
「そんなに難しい呪いなのですか?」
「ナターシャのように自分にかけるのは、よっぽどの物好きだけじゃよ?」
「浮気防止の為とか言ってましたけど…」
「人の苦しみや悲しみをそのままトレースするんじゃ。まるで自分が傷付いたのと同じ状況になる。誰が好き好んでかけるものか」
「確かに…。ゲイザー様やアークの死に際の苦痛もナターシャちゃんは感じ取っていたようです」
「思念だけが直接、脳内に届くのじゃが、それが鮮明に映像化される場合もあるようじゃな」
「じゃあ直接、見られてたわけじゃなかったんですね」
「見えているようで見えてはおらん。心の中を見とるわけじゃからな」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第7話。