ショーンはアプリィの身の上話を真剣な眼差しで見つめながら聞いていました。
「お母さんはまだ若いし、再婚も出来ると思ったから私の事はもう気にしないで、新しい恋人を作ってとお願いして、出て行ってもらったのよ」
「アプリィはお母さん想いなんだね」
「ううん、お母さんが可哀想になっちゃって」
「アプリィはひとりぼっちで寂しくないの?」
「本当は寂しかったの。だからショーンが来てくれて本当に嬉しい!」
こうしてアプリィの家にショーンは一緒に住む事になりました。アプリィは得意の裁縫で小さな服をチクチク縫ってあげます。
「サイズが合ってるか着てみてちょうだい?」
ショーンはアプリィの作ってくれた服に袖を通します。
「すごい!ピッタリだよー」
「良かった!型紙があるから同じサイズで何着か作るわね」
アプリィは木を掘って小さなカトラリーも作りました。
「わーい!僕の体にピッタリなサイズの食器だね」
「これで野菜のスープも飲めるかしら?」
小さなスプーンをショーンに渡しました。
「このスープも絶品だね!こんな美味しい飲み物を飲んだのは生まれて初めてさ?」
アプリィはショーンの事が大好きになってしまいました。ショーンがいなくなる日が来るなんて考えたくもありません。ショーンもアプリィの事が大好きで、この家が気に入っていたので帰る気などありません。
「アプリィ、今日はどこに行くの?」
「ふふ、人間の街で一番楽しいところに連れて行ってあげるわ」
ショーンはアプリィの胸の谷間に挟まれて襟から顔を出しながら話しかけています。
「人間の街で一番楽しいところ?アプリィの家が僕には一番楽しいけどね」
「私が人間の街に住んでた頃、お父さんとお母さんによく連れて行ってもらってたのよ。すごく楽しかった記憶があるわ」
アプリィが連れて来たのはテーマパークの入口でした。大人八百ジェニー、小人四百ジェニーと書かれた看板があります。
「大人一枚ください…」
「小人一枚ください!」
「えっ、小人一枚ですか?」
…つづく
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昔、初投稿して落選した黒歴史の作品、第3話。