二回戦も三回戦も順調に勝利して行きます。ジンの試合の日にはルリもコロシアムに駆け付けていました。
「今日の試合、凄かったわね!」
「ああ、いつもの鍛錬の成果が出たようだよ」
「私の応援も役に立ってるのかな?」
「もちろん!応援席にルリがいるのが見えたら頑張れるよ」
イノンドも決勝戦まで順調に勝ち進んで、ついにジンとイノンドが対戦する日がやって来ました。
「あの日二人でこの剣に祈った通りになりましたな?」
「そうだな、今日はどちらが勝っても恨みっこなしだぜ?」
主審のプレジダンが中央で賽を挙げます。騎士団の正式試合で使われる掛け声を高らかに叫びました。
「ラッサンブレサリューエ(気を付け、礼)」
両者向かい合って、礼をします。
「アンガルド!(構え!)」
剣を前に突き出して、構えます。
「エトヴプレ?(用意は良いか?)」
最後の確認をされて二人同時に返事をします。
「ウィ(はい)」
「アレッ!(始め!)」
試合が開始して果敢に攻めて行き、激しく小競り合いが始まりました。両者一歩も譲らず、剣と剣がぶつかり合って火花を散らしています。
「コントラアタック!パラードした後にリポストしたので、ジンジャー・エールの反則負けとする…」
「ちょっと待ってくれ!エペを使った試合ではコントラアタックはなかったはずだが…」
「騎士団のサーブルを使った試合ではフルーレの試合と同じルールが適応されるのだよ。勉強不足だったようだね?」
「ちくしょう!ルールをちゃんと読んでなかった」
ジンが悔しそうに退場して行くので、ルリは控え室にタオルを持って行きました。
「今のは何が反則だったのか、素人の私にはよくわからなかったわ…」
「パラードで剣を振り払った後に攻撃権が移っていたんだが、気付かずに俺がカウンター攻撃してしまったんでコントラアタックとなって、イノンドにリポストを狙われたから攻撃権が移って負けたんだ。防御側になっていた俺の反則負けになるって言うフルーレのルールだよ。まさかサーブルの試合のルールもそれと同じだったとは思いもしなかった…」
「途中までジンが勝っていたように見えたのに残念だったわね」
「学生時代のエペの試合のルールとは違っていた。騎士団のサーブルの試合では、子供向けのフルーレの試合のルールと同じになるんだそうだ。ルールをちゃんと読まなかった俺が悪いんだけどね。こんな負け方は悔しいよ」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
処女作の復刻版、第84話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。