ジンは腹を割って話す事にしました。
「そうか。実はお前の性格が良いと聞いて話しかけたんだ」
「やっぱりー?それで私が思ったほど性格良くなかったりしたら、その男はこう思うんじゃないかな。他人を性格が良いって言ってたその子の方が性格良いって…」
「ただお前の性格が良いと言ってる侍女が複数いたのも事実だし、今お前と話して見て意外に良い女かもしれない…と俺は感じたんだが?」
「勇者様は考え方が変わってるんだよー」
「ちょっと頼まれて欲しい事があるんだ」
「お願い聞いたら勇者様は私に何かしてくれるのー?」
「俺は何も出来ないが頼みを聞いてくれれば、お前の望み通りに何でも手に入るようになる」
「えーっ、それってどう言う事?なんか詐欺くさいんですけどー。私、騙されないからねー」
「これは浮気草と言う魔法の草なんだ。浮気草の汁を王子が寝ている隙に目蓋に塗って、目が覚めた時に見た者を王子は好きになるんだよ」
浮気草を手渡しながら侍女に説明します。
「すごい!でもどうして勇者様はそんな魔法の草を私にくれるんですか?」
「ユーカリ姫を助けたいんだ。王子がお前に夢中になればユーカリ姫を救い出せる。やってくれるか?お前にしか頼めないんだ…」
「王子と結婚したらファーストレディになれるんでしょ?こんな美味しい話なんか他にないじゃん!」
侍女は言われた通り、すり鉢とすりこぎで浮気草をすり潰すと、お昼寝中の王子の瞼にその汁を塗りました。ドキドキしながら王子が目覚めるのを待ちます。
「其の方はなんと美しいんだ!こんな美しい侍女がいたなんて…今まで気付かなかったぞ?」
「美しいだなんて…嬉しいですー!王子」
フィアンセのユーカリ姫を差し置いてトントン拍子で婚礼の儀の準備が整いました。
「これはどう言う事なの?」
「ユーカリ姫は予知能力があるからわかってるかと思ってたんだけど」
「あなたの仕業だったのね、勇者ジンジャー」
「これであんたとイノンドは結ばれるだろう」
…つづく
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処女作の復刻版、第74話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。