ジンは冗談で言ったのにルリは本気で受け止めていました。
「それはあんたが自分の意思で性格を大きく変えたからよ?勇者のオーラは誰にでもあるわけじゃないの。本当に少ない限られた人にだけ出るオーラだから」
「俺が本当に勇者ならユーカリ姫を助け出せるはずなんだけどなぁ。セルフィーユ王子が悪い奴じゃないから上手く行かない。悪い奴なら倒したら終わりだけど…」
「ユーカリ姫の事は私も気になってたのよ…。私だけが幸せになってユーカリ姫は不幸なままで良いなんて思えないから」
「セルフィーユ王子がユーカリ姫の事を好きみたいなんだ。イノンドはあの王子が良い人だから譲るって言ってる。でもユーカリ姫はイノンドの事が好きだから、王子の事は好きになれない」
「王子に諦めさせるのは難しいかしら?」
「うーん。多分、無理だろうな。俺もルリがクレスを好きなの知ってたけど、諦められなかったし…」
「他の人を好きになるように仕向けるとか…」
「あっ、そうだ!浮気草の汁を使えば…」
「浮気草の汁を王子の瞼に塗るのね」
「でも問題は誰に惚れさせるかなんだよなぁ」
「悪い女に惚れてしまうと悪い王様になってしまいそうよね…」
「メリッサに国王が惚れてた頃は最悪だったからな…」
ジンはセルフィーユ城で働く侍女たちに何人か声を掛けました。
「この城にいる侍女の中で一番、性格の良い女は誰だと思う?」
「えーっ、性格良い女なんて侍女の中にはいないと思うよー?」
「お前は性格が良くないのか?」
「自分で自分を性格良いとか言ってる女は性格悪いに決まってるでしょ?」
「なるほど、それは一理あるな」
「もし誰かの性格が良いって言ってたら、わざとその子を陥れる為だと思うよー?」
…つづく
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処女作の復刻版、第73話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。