ジンはイノンドに褒められて良い気分になっています。
「イノンドもおっさんの割に偉そうにしてないよなぁ」
「ハハハ!腰が低いとよく言われますよ」
「おっさんって歳食ってるだけで偉いと思い込んでるから嫌いなんだよ。まあクレスとかイノンドみたいに、おっさんにしては良い奴もいるけど…」
「クレス殿と言う方に一度お会いしてみたいですね。私と気が合いそうな気がしますよ」
「クレスは良い奴なんだけど、なんか好きになれなかった」
「なぜですか?もしかして私の事もお嫌いなのでしょうか」
「うーん、上手く言えないけど、俺にはないものを持ってるからかもな。嫉妬心みたいなもんか」
「ふむ、人間が誰かを嫌うのは、その人が好きだからだそうです。好きではない相手には興味がないので、嫌う事すらありませんので」
「なるほど、それで人間のルリに俺は嫌われていたのか…」
「人気のある者ほど嫉妬を受けるのはその為です。誰からも嫌われていないと言う者がいたらそれは裏を返せば誰からも好かれていないと言う事になります」
「おっさんは歳食ってるから言ってる事も奥が深いな」
その日はふかふかのベッドでぐっすり眠りました。
「手配書の俺の絵は似てないおかげで誰にも気づかれないから良かったよ」
「名前もバレていませんから、宿屋に泊まる際の名前の記入も偽名を使わずに済みましたね」
「あの時、名乗ったのに忘れちまったとはね」
「私はチャービル卿に個人情報は全部知られてしまってるので、実家の母上の事が心配です」
「そっか…。息子が指名手配になったら、母親はどうなるんだろう?」
「周りから後ろ指を差されるでしょうし、私が現れないか騎士団の者が張り込みをしてる可能性が高いですね」
「お尋ね者になると色々大変なんだな…」
…つづく
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昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第28話です。