ルリは指輪を腕に嵌めてブレスレットのようにしています。
「見てみてー!似合うかなー?」
「よくお似合いですよ、ルリ殿」
「おい!あんまりそいつを甘やかすなよな?」
「ボク、人間になれたらクレス先生のお嫁さんになるつもりだったけど、イノンドさんのお嫁さんになってあげても良いよ?」
「それは本当ですか?実家の母上が早くお嫁さんを連れて来い!とうるさかったので助かります」
人間のルリが今一緒に旅していたら、イノンドに惚れてしまうのではないかと考えて、ジンはゾッとしました。
「ルリはなんでそんなにおっさんが好きなんだよ?若い男には興味ないのか…」
「別におっさんが好きなんじゃなくて、好きになった人がおじさんだっただけだよー?」
なぜか人間のルリに言われた気がして、ジンは凹んでいました。
「この指輪はボクたちの婚約指輪だね!イノンドさん」
「しかしこんな安い指輪がエンゲージリングでは申し訳ないですが…」
宿屋に泊まる事にしてジンが二人部屋の料金をフロントで支払いました。革袋に金貨がジャラジャラと入っているのを見て、イノンドは部屋でジンに簡単なアドバイスをします。
「ジンジャー殿、金貨を一箇所に固めて持ち歩くのはオススメできませんね…」
「ん?なんでだよ…。別に良いじゃん!」
「万が一、スリに遭った場合、一気に所持金を失ってしまうからです」
「なるほど…、田舎はスリなんかいなかったけど、都会にはいそうだな…」
「私は兜の内側や懐の中、腰の革袋やブーツの底などに分散して持ち歩いています」
「イノンドが仲間になって良かったよ?知らずにいたら、全財産失うところだった」
ジンは言われた通り、金貨を十枚ずつ兜の内側やブーツの底に隠しました。
「しかしジンジャー殿は金持ちですなぁ。私より多く持っておられますよ」
「馬を買おうと思ってたんだが、ただで馬が手に入ったから、余裕ができたよ」
「金銭管理能力もきっちりされておられる。あなたのような若い人にしては珍しいです」
…つづく
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昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第27話です。