どう見てもゲイザーにしか見えないアークが、ナタをソファーに押し倒しています。
「こう言うのって非の打ち所がないって言うのかな?どこも悪いところがないのに、なんでだろー?アークと一緒にいても、あんまり楽しくない…」
「天界にいる天使はみんなこんな感じだよ?顔立ちは整っているし、下級天使には多少質の悪い者もいるが、特に最上級のセラフィムくらいになると、欠点など一つもない」
「うーん、天界って全員アークみたいなイケメンで性格良い人ばかりって事?」
「しかし僕から見たら面白味に欠ける。みんな同じような顔をして、同じような思考をしている」
「天使は喧嘩とかしたりしないの?」
「セラフィムに喧嘩を売る天使はいないな。全てに於いて完璧で万能な者たちだから。下級天使同士で諍いはたまにあるよ?」
「この世がイケメンばっかりだったら良いのにって思ってたけど、本当にイケメンだらけだと楽しくなさそう」
「天界は確かにつまらない。ただ天界に人間がいた頃は楽しかったよ」
「天界にも人間がいたの?」
「神が最初に創られた人間はアダムとリリスだった。実験段階では天界で飼われていたんだ」
「アダムとイヴじゃなかったっけ…?前にそう言う話を本で読んだ事あるよー」
「どうやらリリスの存在を上の者たちに抹消されてしまったようだな…。イヴは人類二人目の女性だった」
「リリスはなんで存在を消されちゃったの?」
「欠点だらけだったからさ?神はリリスに天使にはない欲を与えた。だけど僕にはその欠点がとても魅力的に見えたんだよ。天使の持たない感情だったから」
「まさかアークは、その女の事を…」
「リリスは僕の初恋の相手だったんだ。初めて心を奪われてしまった。それまで女性から言い寄られても、適当に相手をして終わらせていたんだが、僕はリリスを愛してしまった…」
「それでリリスはどうなっちゃったの?」
「リリスは死んだよ。だから僕は転生してリリスを探し続けた。そして二千年かけてやっと見つけた。それがナタだったんだ」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第107話。