No.97916 真剣で私に恋しなさい! ラストルートアフターIFストーリー後編『あの女が愛する者を手に入れた!?』MiTiさん 2009-09-29 00:03:19 投稿 / 全12ページ 総閲覧数:25211 閲覧ユーザー数:21897 |
「では…乱闘、開始!!」
川神鉄心の宣言と共に8人は一斉に駆け出す。
互いに駆けていたために、距離は一気に無くなっていく。
「う゛ぁぁぁあああああああ!!」
最初に動いたのは辰子だ。
4mもある平均台の中心付近を抱えるように持ち、
全員が間合いに入った所で、全身を使って、全員を巻き込むように回転させる。
闇雲に、我武者羅に振り回すのではなく、全身を使った動きによって、
隙がなく効率のよい動きで相手を倒そうとする。
川神院での修行により、辰子は武人にとっての最上の精神状態、
『心は熱々、頭は冷え冷え』の状態でいることが出来るようになったのだ。
辰子を中心に繰り出される平均台の回転攻撃。
当たれば怪我では済まされない攻撃に、7人は後退する事はなく、むしろ更に距離を詰めていった。
そして、平均台が当たる直前、亜巳・天使・クリスは姿勢を低くして平均台の回転の下へと潜り、
百代・一子・京・由紀江は自身の脚力、又は武器を利用した跳躍で辰子の上を取る。
「板垣辰子、覚悟!!」
「「させない(ぜ)!!」」
クリスは駆けてきた勢いと自身の全体重を乗せた重く早い一撃を繰り出し、
亜巳と天使は平均台の回転に武器の一部を当て、亜巳は回転を、天使は反動を利用した一撃を繰り出し、
辰子を狙ったクリスの一撃は、それを阻止せんとした二人の一撃によって阻まれることになる。
「「「ぬっ…ぐ、うぁあ!?」」」
交じり合った3人の攻撃は互いに相当な衝撃を与え、その衝撃に耐えられず3人は吹き飛ぶ。
亜巳と天使は棍とクラブを地面に当てて着地し余り離されなかったが、
クリスが同じことをした場合、レイピアのような細い武器では早くに使えなくなってしまうので、
勢いそのまま吹き飛ばされ、かなり離れてしまった。
距離が離れたクリスに向かって二人が追撃を仕掛けてくる。
やっとの事で着地したクリスは向かってくる二人を見て構えをとる。
左足を伸ばして右足を引き、レイピアの拵えを腰まで引き絞り、
「二人だろうと…何人であろうと、この技の前では変わらない!」
突きを放つ。その突きは自分の前面広範囲に向けて連続で放たれ、相手に近づくことを許さない。
二人掛でありながらも接近できずにいる二人は思う「これほどまでに腕を上げたのか…」と。
辰子の上では、上から百代・一子・由紀江・京の順にいる。
京は辰子の動きに注意しながら他3人全員に当てるつもりで矢を連射する。
空中にいながらも3人はその矢を難なく弾き、それさえも利用して攻撃につなげる。
京と由紀江、一子と百代が交戦し、落下が始まるたびに勢いを利用して浮かび上がっているので高度が下がることが無い。
その状況を辰子が打ち壊した。
自分の頭上にいる敵に向かって、彼女は平均台を槍投げのようにブン投げた。
一番下にいた京はいち早く気がつき、ギリギリまで由紀江の下への注意をさえぎり、平均台を滑り乗るようにして避ける。
京が退いた後方から迫ってくる平均台を見て、このままでは避けられないと判断した由紀江は、
「黛流抜刀術奥義!裂空龍斬!!」
気を込めた居合いにより真空の刃を放つ。
その刃は平均台の中心を擦り抜けるように通っていく。そして、
「やぁぁああああああ!!!」
気合一閃、上段から振り下ろした一撃により、平均台は縦に真っ二つになる。
だが、勢いは止まることなく、二つに分かれた平均台は更に上にいる百代と一子に向かって飛んでいく。
向かってくる平均台に気付いた百代は、不敵な笑みを浮かべながらそれを掴み受け止める。
「はっはぁ!やるなぁ、まゆまゆに辰子!だが…私はそんなことでやられると思うな!!」
そして不敵な笑みを崩さぬままに平均台を投げ返してくる。
一子も、全身と薙刀をばねのようにして平均台を受け止めていた。
「川神一子!こんな一撃でや、ら、れ、んない!!」
押し込まれたばねを反動させるかのように、薙刀をふるって平均台を投げ返す。
落下による重力加速が加わった平均台を辰子は両片手で掴み取る。
両手がふさがったことにより出来た隙を京が狙ってくる。
「避けられない今がチャンス!!」
複数の矢を番え、残りの矢の全てを一斉に放つ。
逃げ場の無い攻撃に対して、辰子は、
「はああああああ!」
片方の平均台の脚の部分をもう片方に引っ掛けて、旗を棒に巻きつけるような動作で振り回す。
平均台を回転させることによって作り出した盾によって矢は全て弾かれる。
それだけに終わらず、辰子は振り回した勢いに乗せるように、回転する平均台を投げ飛ばす。
回転しながら飛んでくる平均台。半径2mの回転、上空にいては動いて避けることは不可能。
京は弓に体を乗せ、自らも回転しながら弓で平均台を受け流す。
歯車を逆同士に回し接触させれば、止まることなく回り続けるのと同じような要領で京は回避した。
上にいた由紀江と一子も同じやり方で回避し、百代は…
「こんな長くてうっとおしいだけの武器…二つもいるかーーーー!!」
回転する平均台の中心らへんに向けて拳を突き出す。
すると、太さが半分になった平均台はいとも簡単にへし折れてしまった。
割れて二つになった平均台を掴み取って、百代はそれらを一子と由紀江に向かって投げ飛ばす。
「空も飽きた…二人揃って落ちろ!」
豪速で迫ってくる平均台。二人は武器で防御するがその勢いは止められない。
平均台共々地面に向けて落ちていく。
「京、お前も落ちろ!川神流、掌功破!!」
片掌に気を溜め込み、圧し固められた気が京に向けて放たれる。
衝撃のみを与える百代の掌から一本の腕ほどの太さの光線の一撃。
京は弓を高速回転させて百代の攻撃を防ぐ。その様は、豪雨を傘で受け止めているかのようだ。
攻撃自体は防げたが、上からのしかかるように襲うその衝撃は防げず、地面に押される。
「一気にケリをつける!川神流!戦気豪雨!!」
拳に気を溜め込んで一気に解き放つ。解き放たれた気は散弾銃の如く分散し雨の如く降り注ぐ。
地面に押し下げられた3人も、下で接戦していた3人も、全員が気弾の対処に回る。
一つ一つが拳大である為、避ける防ぐは問題なく出来るのだが、油断は出来ない。
威力が半端なく、一発で地面が百代の拳型に抉れてしまうほどだ。
気弾を浴びる中、辰子一人だけがその気弾をものともしていなかった。
「っふ!たぁぁあああああ!!」
平均台を利用し、棒高跳びの要領で空高く跳び上がる。
気弾が当たろうが掠ろうが一切気にせず、辰子は百代よりも上まで跳び、
重力の法則にしたがって落ち始める瞬間空中活歩で一気に降下して百代に襲い掛かる。
「私の上を取るとは…いい度胸だ辰子!!」
気弾の雨を止めて、百代は辰子と向き合う。そして始まる突きや蹴りの応酬。
すさまじい速度と威力の応酬を制したのは…辰子だった。
繰り出した突きの1つが百代の肩に当たった。
だが、百代もやられるだけではなく、打撃によって回転し始めた体を自分から回転させることで、
その位置で高速で体の向きを逆にする。
そうすることで、百代の足がちょうど辰子の腰の部分に止まる。
足で辰子の腰を挟み込んで、更に回転し、辰子を地面に向けて投げ飛ばす。
辰子は投げ放たれる瞬間、百代の身体を掴み、
結局二人揃って地面に叩きつけられることになった。
百代の気弾と、叩きつけられた二人によって、グラウンドは土煙で覆われる。
8人は気合を込めた一振りで、その土煙を振るい払った。
そこには、それまでの攻防で耐久力に限界が来て半ばから折れてしまった弓以外初めと変わらぬ状態の8人がいた。
相手の姿を確認した直後、自分の近くにいる敵に向かっていく。
8人の中で一番離れた場所にいた京は、折れた弓を一目見て、迷うことなく投げ捨てる。
そして、胸を揺らしながら隠し持っていた第2の武器パチンコを取り出す。
手近の地面に落ちている礫を拾い集め、鎖骨まで放り上げ、
マガジンも標準も無いパチンコで、オートマチックの拳銃のような連射速度で次々と撃ち出していく。
京独自の改良・改造を受けたパチンコによって撃ちだされる一発は、本物の銃で撃たれたゴム弾ほどの威力を有する。
それを知る7人は、已む無く京の遠距離連射に対応する。
百台でさえも、反撃しようとすれば放置できない一撃を放たれ防御回避せざるを得ない。
礫の数は無限にあるので、京の連射は止まることが無い。
だが、その連射の中を、確実に京に向けて歩を進める者がいた。由気江だ。
向かってくる礫の全てを弾き流し、他の者に向かうようにする。
距離が詰められていくのを見て、京は全ての射撃を由気江に向ける。
だが、どれだけの礫をどこを狙って放っても由気江自身に当たることはなかった。
流れ弾に注意しながら交戦する6人の後ろで、ついに京までの距離を0にした由気江が刀を振り下ろす。
京はY型のパチンコのVの部分で、自分に向けて振り下ろされる刀を受け止める。
刃が潰してある刀であるからこそできる対処法だ。が、これが出来るのも一度きり。
刃が潰してあろうとも、四天王の一人である由気江の斬撃の威力はすさまじく、
一度受けただけでパチンコがひび割れてしまった。
距離をとろうとする京に対して、由気江はパチンコのゴムの部分を絡め取って、パチンコごと京を投げ飛ばす。
その力が止めとなり、辛うじて原形を留めていたパチンコは折れてしまい、京の手には柄の部分だけが残った。
投げ飛ばされた京に最初に気付いたのは亜巳だ。
武器であるパチンコを失い、無防備な状態で自分に向かって来るのを見て好機と考え、
対峙していたクリスを渾身の一撃で突き飛ばしてから京の方へ向く。
京は、投げ飛ばされた先に亜巳がいることを確認すると、体を捻って体勢を整え、3つ目の武器を現す。
片袖を捲って出てきたのはスリンガショット。一言で言うならばパチンコの強化版だ。
自身の腕を本体とするため、パチンコの耐久力で出せなかった引きの力を発揮できるのだ。
パチンコの柄を宛がい、最大限に引き絞って亜巳に向けて放つ。
弾丸の如く迫り来る柄を、亜巳は棍をかざすことで防ぎ、棍に当たって柄は粉々に砕け散った。
それなりに丈夫だった柄が粉々になるほどの威力があった一撃をまともに受けて、亜巳は腕をしびれさせてしまう。
その隙を逃すはずも無く、京は亜巳を突き飛ばしながら着地する。
丁度7人の真ん中に位置する場所に着地したことを確認した京は、再び足元の礫を拾い集める。
今度は上空に向けて投げ、すぐさま一発の礫を、投げ上げた礫の塊に向けて放つ。
「妙技!礫花火!!」
その名の通り、礫は反射を繰り返して、玉突きの様に塊は分散し、花火の如く四方八方に向けて飛ぶ。
礫は京付近を除いて全方向に降り注いでいく。
その降り注がない間合いのうちに亜巳はギリギリ入っていた。
「調子に乗ってるんじゃないよ!!」
腕の痺れから回復した亜巳は、京に向けて棍を突き出す。
突き出された棍を、京はスリンガのゴムで受けた。
亜巳の突きの力によって、ゴムは一瞬で限界まで引き伸ばされる。
それを見て…京は不敵に笑う。
「!?しまっ…」
京の笑みを見て、彼女の意図を察するが、もう遅かった…
棍を引くゴムがあるスリンガを装着している腕を、腰の捻りを加えて突き出す。
それによって、限界まで引き絞られた棍はさながらパイルバンカーのように亜巳の体にめり込まれる。
「うっ…かっ…こほ」
その一撃をまともに喰らってしまった亜巳は後方へ飛ばされる。
棍による激痛と呼吸困難に陥っている亜巳に対して、京は更に追い討ちをかける。
反動で未だに自分の手元にある棍を再びあてがい、引く。
スリンガを弓に、棍を矢に。
「パロネタ妙技!ガラドボルグ!!」
棍の矢はまっすぐ亜巳に向けて飛ぶ。
迫り来る棍を見、ここで終わってしまうのかと思ったその時、
「喰らいなさい!川神流!風払い!!」
「そんな大振りな攻撃食らう馬鹿がい、うぉわ!?」
「っぐ!?」
別地点で戦闘していた一子と天使が、戦闘するうちにこの場所まで移動してきて、
一子の大振りの一撃を避けようとした所、天使は亜巳にぶつかってしまい、二人揃ってもつれながら倒れこむ。
だが、そのお陰で、棍は亜巳に覆いかぶさりながら倒れている天使の真上を通り過ぎていく。
「…京、てめぇ危ねぇじゃんかよ!」
「…割り込んできたのはソッチ。それに…今は戦闘中、咎められるいわれは無い」
「そうよ!それに戦闘中の油断は武人の恥、反省しなさいよ~」
「…ああ、耳が痛いな。だが私も次は油断しない!」
「相手の攻撃であっても利用し勝利へとつなげる…乱闘では上策と言えるでしょう」
「ああ…だがそのせいで、せっかく楽しんでいた拳の語り合いをさえぎるのは関心せんな~」
「…亜巳姉…これ返す…」
「ケホ、コホ…あぁ、ありがとう」
いつの間にか8人全員が集結していた。
百代と辰子は、取っ組み合いをしていて、いざ渾身の一撃を!
と言ったところで二人のど真ん中に棍が飛んできて遮られてしまった。
溜めていた気が散らされて、百代は若干不機嫌になりながらその現況を探し、ここに来たという訳だ。
辰子も気を散らされて、改めて飛来物を見てみると姉が使っていた棍が…
武器が無いのでは…と考えて持ってきた次第だ。
何気ない会話。だが、今は現在進行形で乱闘中…
皆、闘気を振りまいて相手を牽制することを絶やすことが無い。
「さってっと…それじゃぁ、仕切りなおしと行こうか…」
「応!」(全員
「…と、言いたい所だが…多分このままじゃ何時までたっても終わらないだろうな…」
「…まぁ、お姉さまの言うとおりね。皆あれから修行は絶やさなかったし、腕も上がってきてるわ」
「百先輩と同等とまでは行かなくても、私達以外のもので今の自分達に敵うものはいないだろう」
「たしかにそうですが…それではこの勝負、決着がつけられません」
「それなら、次の一撃に全てをかけて勝負しようじゃないか」
「それがいい。全力でぶつかり合うなら誰も後悔しない」
「そだな。かっても負けても文句無しな!」
「う~ん、それじゃぁ…逝コウカ」
8人はゆったりと、しかし力強く、己の最大の技を放とうと構える。
構えて微動だにしない8人の横を、一陣の風が通り過ぎる…
桜の花弁と共に吹きすさぶ風は、桜吹雪となって8人の視界をふさぐ。
そして…風が弱まり桜吹雪がおさまったその瞬間…
「「「「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」」」」」」」」
8人はぶつかり合った!
ぶつかり合ったときの閃光で、学園は白い光に包まれた…
ぶつかり合ったときの衝撃で、学園に震度6の地震が起こった…
砂が、石が、桜吹雪が、8人を中心にして吹き飛ばされていった…
…………
嵐が治まると、グラウンドには8方に散って倒れている8人がいた。
模造の武器は全て折れ、観客の誰もが引き分けか?と思った。
だが、二人だけ起き上がった。百代と辰子だ。
「…あ~、っくそ。効いたな~…まさか皆がここまでやるとわな」
全員の腕が上がったことに驚き感心し、ここまでの死闘を出来たことに百代は喜んでいた。
「別に学園最強の称号に興味は無いが…やっぱり大和だけは譲れんな」
「ゃ…とく…やま…くん…大和君、大和君」
それに対して、辰子の頭の中はもはやそれしか考えていなかった。
「これだけやって、未だに立っていられる…戦える…
辰子!私は楽しいぞ!!嬉しいぞ!!!」
「……………」
「だが、これで終わりだ!大和は…私のものだ!!!」
「大和君は…大和君は私の…私の゛ーーーーーーー!!!」
この日最大の気の本流が、二人を中心に渦巻く。
「集え、戦気よ!集え、闘気よ!!集え、森羅万象に宿りし気よ!!!」
「顕現せよ!わが身に宿りし、渦巻く、終焉をもたらす破滅の気よ!!!」
自身からあふれ出てくる気、周囲から集まる気が二人の掌に向けて収束していく。
「我が一撃は全てを砕く、全てを壊す、全てを消滅せしめる!!」
百代は両掌を右腰に添える。掌の中では気が集圧していき1つの巨大な塊となる。
「我が名の如く、龍の如く、その一撃は止まることなく突き進む!!!」
辰子は、平均台の脚の部分を踏み、端の部分を支点にして平均台を持ち上げ、右肩上で担ぎ上げる。
平均台に気が纏われていき、龍の姿の幻影を生み出す。
そして…
「かーわーかーみー波ーーーーーーーーーーーーー!!!」
「破ー滅ー龍ー槍ーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
百代から放たれる光と、辰子から放たれる龍がぶつかり合った。
ぶつかり合った衝撃は二人を後方へと押し退かせる。
だが、それに比例するように光と龍は更に大きくなっていく。
それは何秒続いたのか?何分続いたのか?
二人の強力な気は、辰子が媒体として使っていた平均台をすり消していき、終に消滅してしまった。
それを見て、二人は…自らが繰り出す気、光と龍の中へ飛び込んでいく。
気が進む方向に向かって、気の流れに乗って二人は突き進む。
己の全力を、己の想いを、己の心を、己の魂を…全てを込めて二人は拳を突き出す。
「「川神流!無双正拳突きー!!!」」
その日、川神学園にきのこ雲が上がった…
…様な気がした…
その戦闘を、鉄心の結界に守られながら、大和は見守っていた。
自分を、直江大和を巡って行われた戦いの全てを…
「みんな…」
大和が見る先には、全力をぶつけ満足そうな表情で気絶する8人がいた。
あの百代でさえも、今は気絶して起き上がる様子が無い。
「フゥム…一応百代と辰子が最後までたっていたが、二人とも同時に倒れたために引き分けかの」
「引き分けって…この場合はどうするんですかね?」
「うむ、学園最強を決めるのであれば…ここは卒業した百代を除くとして、辰子で決まりじゃの」
鉄心の言葉に大和は頷く。学園最強の称号。それは受け継がれていくもの。
どのようなことがあれ、百代が永遠に川神学園にいることは無い。
そうなれば、板垣辰子が、学園最強を決めるこの決戦で最後までたっていた彼女がその称号を得るにふさわしいだろう。
「…それで、俺はどうすればいいんですかね?」
「なんじゃ?やはり誰かに独占してもらいたいのか?」
「…独占と言うか…そもそも俺には誰かを選ぶってのは出来そうにありません」
「全く…つくづく贅沢な若者じゃのぅwww」
「笑い事じゃないでしょう…それに、許されることじゃ…」
「ならば許される世の中にすればよかろう」
余りにも当然のことのように告げる鉄心に驚愕の表情を見せる。
「全員が好きなら全員を選べば良い。法が許さないのであれば、努力し、戦い、変えられる立場になれば良い!
お主は若い、まだまだ未来は無限に広がっておる!
諦めなければ夢は叶う分けではないが、諦めてしまえばそれで終わりじゃ。
そして、進むことを最初から諦めていては何も始まらん。まずは動け!進め!!己の意志を貫きたまえ!!!」
鉄心の力強い宣言に、大和は心を打たれた。
大和は子供の頃の、成長すると共に現実の辛さを痛感するうちに消えていった夢を思い出す。
町民の、市民の、県民の、国民の、果ては世界の望みをかなえる存在、
総理大臣となって今の世の中を変えていく。
鉄心の言葉を聞き、大和はその決意を思い出し、再び歩もうと決意する。
未来を夢見る大和の決意に満ち溢れた表情を見て、鉄心は満足そうに頷く。
「ではここに、学園最強の称号を3-F板垣辰子に授与しよう!」
鉄心の言葉を聞いて、新しい最強が生まれたことに、学園が沸いた。
「…さて…賞品の直江大和」
「うっ……」
「先の言葉を聞く限り、おぬし自身は全員を選ぶと言うことでよかったかの」
「そ、それは…」
「漢の二言は見苦しいぞい。それじゃぁお主等…直江大和を好きにするが良い!」
「ちょっ!?なにを」
「いよぅし!それじゃぁお姉ちゃんと一緒に行こうか!」
大和が反抗しようとした所を、いつの間にか抱きついてきた百代がさえぎる。
「って、姉さん!?」
「大和君~♪」
「辰子さん!?」
「全員でも…大和が私を選んでくれたことに変わりは無い。つまりは相思相愛!もはや誰にも止められない!!」
「いや、ちょっとまて京!!」
「例え離れていっても本能で大和のところに帰ってやるわよ!」
「おい一子!?」
「大和ならお父様もマルさんも認めてくれる!安心しろ!」
「何を!?」
「お~う、ライバルは多そうだな…でも、選ばれたまゆちっは幸せ者だなぁ」
「大和さん…不束者ですがよろしくお願いします」
「あ~の~…まゆっち?」
「由気江って呼んでください」
「いや~、これで大和のことを好き勝手で切るわけだな」
「楽しみだねぇ(ジュルリ」
「ちょっ!?天に亜巳さん!?」
先程まで死闘を繰り広げ意識を失っていた8人が、何事も無かったかのように大和にまとわり着いていた。
「それじゃぁ~…」
「いっただっきまーーーーーす」(×8
「うぅわああああああぁぁぁぁぁぁ…………」
その日、1つの流れ星が8つの円を描く星の中心に向けて消えていった…
The END !!
おまけの解説コーナー!
百代の技、弱い順に…
戦気豪雨:宇○戦艦ヤマトで言う所の『パルスレーザー砲』
掌攻波:ヤマトで言う所の『主砲』
川神波:ヤマトで言う所の『波動砲』
一子の技
風払い:薙刀の柄の先端付近だけを持ち、思いっきり横薙ぎ。大振りな分威力は半端無い
京の技
礫花火:F組No.2の頭脳(No.1大和)と、『弓の椎名』たる目、この二つを持つ彼女だからこそできる技。
礫を一目見ただけで瞬時にその状態を識別し、どこに当てればどうなるかを判断して、
狙い違わず討つことで礫を散弾させる。
ガラドボルグ:剣、棍、槍、etc…細長いものであればなんでも矢にして発射できる。
パロ元は某赤い弓兵です。
由気江の技
裂空龍斬:居合いによって真空の刃を飛ばす技です。
これ一回で豪邸の庭の草刈が終わりますwww
切れ味は…この技で斬られた大根はくっついて元に戻ります。
辰子の技
破滅龍槍:槍などを媒体として、龍を模した気を纏わり着かせて放つ技。
媒体が大きければ大きいほど、気が多ければ多いほど強くなります。
後編『あの女が愛する者を手に入れた!?』いかがでしたでしょうか?
改めて思う…バトルSSって難しさがパネェ!!
勝敗は…一応百代と辰子が2トップと言う形で終わりました。
戦闘描写も、自分が考えた、有り得なさそだけど彼女達ならできるのではって感じのを中心に書きました。
お陰で、一子vs天使や百代vs辰子の戦闘を満足にかけなかった…OTZ
まぁ、書きたかったシーンは書けたから良しと…していいですか?
とにかく…これにてラストルートIFアフターストーリーを終わります。
今後、まじこいSSを書くかどうかは…全く未定!
『無いのなら 作ってしまえ ホトトギス』みたいなのりで、
もしかしたらクリスアフターなるものを作っちゃうかもですがwww
とりあえず、現在執筆中の恋姫SS(ショタ一刀シリーズ、チェンジシリーズ)、SHUFFLE!SSを終わらせちゃおうかと思います。
ではこの辺で。
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え~…まじこいSS後編です。
ただただ自分の書きたいままに書いた作品になりました。
出て来る技もオリジナルものが多々含まれています。
ではどうぞ…