アークはやっとフラウを離しました。
「僕は女性を幸せにしたかっただけなんだ…」
「ええ、私もリズもあなたから幸せをもらったわ。バンドマンもファンに夢を与える素敵な職業だと思う」
「僕の愛するナタを一番幸せにしてあげたいのに出来ていない」
「ナターシャちゃんも幸せだと思うわ。ただ幸せ過ぎると不安になる事もあるのよ」
「ナタがいじめを受けている。原因は僕のようだ」
「人気のある人と結婚したら、恨まれるのは覚悟しなきゃならないわ。それでもあなたと一緒に暮らして行く事をナターシャちゃんは選んだの」
「もう少しだけ頑張ってみるよ?僕に出来る事はまだあるはずだから」
夕方にアークが帰宅すると、珍しくナタが家にいませんでした。
「誰も出迎える人がいないと言うのはこう言う感覚なのか…。辛いな」
しかし何時間待ってもナタが帰って来ません。
「おかしい…。何があったとしか思えない。しかしそれなら言霊を飛ばすはず」
心配になって上空から探し回ります。心眼があるので暗闇でも関係ありません。
「ナタ、返事をしてくれ!どこへ行った?言霊が飛ばせない危機的な状況にいるのか…」
とりあえず家に帰ると灯りが付いていました。
「ナタ!探したんだよ?どこにいたんだ」
「お友達と遊んでたの。言霊無視しちゃってごめんなさい」
「学校で友達ができたのか?ナタと仲良くしてくれる人間がいたとは…」
「前からお友達はいたよ?私、そこまで嫌われてないし…」
「そうだったのか?僕の勘違いだったとは…」
「いじめてくるのは派手な女子。地味な女子とは仲良かったよ。元々、その子がいじめに遭ってて助けたら私がいじめに遭い始めたの」
「ナタは優しいんだね」
「その子には誰も味方する人がいなかったの。私、そう言う子を見かけると、仲良くしたくなっちゃうんだ。おじさんもそうだったの。いじめに遭ってる子と同じ目をしてた…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第95話。