サルバドールはフラウに見とれていました。
「ママに聞いてた人と全然違う…」
「えっ、ママになんて言われていたの?気になるわ…」
「ものすごい性悪女で不細工って聞いてた!」
「ふふ、そうだろうと思ったわ」
「お姉さん、怒らないの?ママの事」
「リズの気持ちは痛いほどわかるもの。恨んでも恨んでも愛する夫は帰ってこないから」
「でもパパがお姉さんの夫を殺したんでしょ?ごめんなさい…」
「あなたは何も悪くないわ。それにもうテオドールの事は全く恨んでないのよ。むしろ男らしくて素敵な人だったと思ってる」
「そうなの?もっと僕のパパは恨まれてるのかと思ってた!どうして恨んでないんだろう…」
「アークのおかげね。恨む気持ちを消し去ってくれたのよ」
「ママもあいつに会ってからパパの話をしなくなって、いつも泣いてたのに笑うようになったんだ。なんでだろう?」
「ふふ、あなたが大人になったら、きっとわかる日が来るわ?」
「ママにキスしてたから?ママ、あいつにキスされると幸せそうにしてた」
ナタとフラウの間に気まずい空気が流れます。
「ねぇ、あいつみたいにキスしたら僕にも女の人を幸せにできるの?」
「それは…アークだからできる事なの。大人になって真似しちゃダメよ?」
「キスは世界を救えるんだね!」
「ダメ!そんな事、覚えちゃ…」
「だってママもお姉さんもキスされたから、恨むのをやめたんでしょ?僕もあのお兄さんみたいにキスで女の人を幸せにできるようになりたいなぁ」
「サルバドールがアークみたいなプレイボーイになったら困るわ…。ある意味、人類の敵になりかねないし…」
「どうしてダメなの?キスは悪い事じゃないよね」
「悪い事じゃないんだけど…。アークだから許されると言うか…。他の男がやると犯罪になる場合があるのよ」
「サルバドール、アークは魔王だから真似したら世界が滅亡しちゃうよ?」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第80話。