アークが議員になって数日後の事です。同じ自由平和党の議員から歓迎会をすると言われました。
「僕はもう帰らないといけないので…。フィアンセが僕の帰りを待っていますし…」
「君は随分と若く見えるが歳はいくつだね?」
同じく自由平和党に所属していた議長が尋ねます。
「えーと、確か二千三十歳くらいですね」
「ん?わしの聞き間違いかな…。耳が遠くなってよく聞こえなかった」
「人間の歳ですと二十歳くらいだと思います」
「二十歳で国会議員に当選するとはな。まあユリアーノが最年少記録の二十歳だから、前例がないわけではないが…」
「アラヴェスタで国会議員に立候補可能になるのが二十歳からですからね。確かユリアーノ様はゲイザー様と同じ派閥に所属してましたね」
「奴の場合、国家資格の第一級魔術師試験にトップの成績で一発合格して、そのまま議員になっただけだが…」
「なるほど、第一級魔術師試験はそれほどの難関なのですか?」
「まあ国家資格だからな。そうそう容易く取れるものではない」
「流石、ユリアーノ様ですね。一度お手合わせしてみたいものです」
「やめておけ。老いぼれて弱体化しておったのに若返りの桃を食べたなどと言って、どうせ非合法の魔法の秘薬でも調合したのだろう。あんな得体の知れない奴に関わらない方が利口だ」
「うーん、ユリアーノ様も人気が高いですからね。投票券の売り上げは二番人気だった」
「奴は顔が良いからな。若返ってから宮廷内の侍女たちもユリアーノの噂話ばかりしおってからに…」
「顔が良いだけでは出世できませんよ?実力でのし上がったのでしょう?」
「実力があるのはわかるが…。わしも年功序列でやっと議長になれたが、お前の考えたトーナメント戦には参加申請しておらんから、あと少しで強制退職させられて隠居生活だよ?」
「もしかして議長殿は僕の事を恨んでおられるのですか?本心ではあの提案を否決させたかったのでしょう?」
「いや、テオドール国王が許可されたからな。わしには反対する権利などないよ?テオドール国王が反対してくださるのを期待していたが、満面の笑みで判を捺された」
「あなたもそこら辺の議員よりは優れた人物に見えます。議長の風格でしょうか?」
「ははは、お世辞でも嬉しいよ?君は若いが才能に溢れているのはわかっている…。世代交代の時期だったのだろう」
「いえ、お世辞ではなく本当にそう思っています。実際に無能な者は出世などできないからです」
…つづく
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