議長は悲しそうな目をして呟きます。
「君となら美味い酒が飲めそうなのだが…。昔は上司に飲みに誘われたら部下は断らなかったよ」
「そうなのですか?僕はまだこの世界の常識に疎いので、ゲイザー様も酒場に遊びに行くのは出来る男のステータスだと言っていましたね」
「昔はそうだった。酒場で遊べるのは稼ぎの良い男だけだからな。バニーガールも稼ぎの良さそうな男に群がるのだよ?」
「なるほど、社会勉強の為にも行くべきなのでしょうか?」
「来てくれるなら今夜はわしが奢るよ?ルシファー君の歓迎会も兼ねているからね」
アークは議長に頼み込まれて断りきれずに酒場に行く事になりました。
「メサイアのアーク様だわ!議長さん、今夜は私を指名して?」
「これこれ、それは芸名だろう?彼の本名はルシファーだよ?」
「アークと呼ばれ慣れているので大丈夫です」
要人専用特別席に案内されます。
「ルシファー君はもう婚約している。あまりハメは外し過ぎないようにな」
「えーっ、あれって無理やりフィアンセにされたんじゃないんですか?アーク様、可哀想…」
「いいえ、僕が彼女にプロポーズしました。彼女の養父であるゲイザー様にマルヴェールの闘技場で勝負を挑み、勝利して交際を認めてもらったのです」
「あっ、それも聞いた事ある!ファンの間では伝説になってますよー」
「マルヴェールに移住されているファンなら見ていた人も多いですし」
「アーク様めちゃくちゃ強くて、ダーク様はすぐ負けちゃったんでしょ?」
「いえ、接戦でした。いや、むしろ僕が追い込まれていました。ゲイザー様を甘く見てはいけません」
「ゲイザーも得体の知れん男だ。マルヴェールの女王補佐官でありながら、アラヴェスタの政治にも口を挟んでいる。前々から気に入らなかった…」
「僕が必ずゲイザー様を潰してやりますよ?」
「頼もしいな…。期待しているよ?」
…つづく
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おまけのつづきになります。