ナタはずっとくすぶっていた想いをティターニアにぶつける事にしました。
「私…まだおじさんの事が好きなの!どうしても忘れられない…。アークには悪いと思うんだけど…」
「それはきっとナタの初恋だからだと思うわ。私も初恋の思い出がどうしても忘れられなくて悩んでた…。でも、ナタを見ていたら…もう吹っ切れたわ!オベロンの事、許す事にしたの」
「あんな太った王様の事、一生許さなくても良いじゃん!」
「初恋のあの人は手先が器用な大工でね。小柄な体の私の為に極小のカトラリーをハンドメイドで作ってくれたの」
「ふーん、確かに職人技ってすごいなと思うけど、ロバみたいな顔の醜男だったんでしょ?」
「だけど私が今まで生きてきた中で一番幸せな記憶だった。顔で選んでいたらあんな素敵な人に出会えなかったかもしれないわ!だからもう良いの。オベロンがパックに命令して浮気草の汁を私の瞼に塗らなければ…私は一生、初恋の甘酸っぱい経験を知らないままだったから…」
「そっかぁ、初恋は実らないってどこかの本に書いてあったような気がする…。おじさんの持ってた恋愛小説に書いてあったのかも?」
ナタの頬を一筋の涙が伝って流れ落ちます。それは初恋の終わりを告げていました。ナタが部屋に帰るとアークが待っていて、ナタの事を強く強く抱き締めました。
「この家を追い出されてから、ずっと我慢してたんだ…。もう性欲が爆発しそうだよ?」
「他の女とすれば良かったでしょ?」
「ルシファーの記憶が戻ってからはファンに誘われても全部断ってた。議員になってから大人の付き合いで酒場に連れて行かれてバニーガールに誘われたけど、それも全部断った!」
「どうして?男の人って性欲が溜まってきたら我慢できないんでしょ?浮気されるのくらい大目に見ないとやって行けないって、おばさまの読んでる恋愛必勝法の本にも書いてあったよ」
「ナタを愛していたから…。他の女は抱けなくなってしまったんだよ」
「本当に?私、アークに愛されてないと思ってた」
「愛してるよ、ナタ…。誰よりも君を…」
その日、ナタとアークはまるで獣のように愛し合いました。
「今日のアーク、すごく良かったかも…」
「ナタは少し乱暴に扱われる方が好きだったのかな?」
「うーん、してる時にナターシャ様じゃなくてナタって呼んでくれてたからかも?」
「以前の僕は割れ物を扱うように気を遣って大事に君を扱っていたからね」
「そうだね、前はなんか遠慮してるのわかってたけど、今日はしてる時にめっちゃ愛されてるって感じたよ?」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第156話です。